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悪人のビジネス

【最近は「デザイン思考」と言うけれども】
最近は「デザイン思考」という言葉を良く聞く。モノ作りのビジネスには「機能や性能だけではなくデザインが大事だ」ということだ。真面目に考えると「機能・性能・価格に見合った値ごろ感」を満たした上で「デザイン」を考えるように、一般消費者向け製品はしなくてはならない、というように、普通は聞こえる。だから「良いデザインのものは当然、機能や性能については一定以上で、価格も相応なもの」である、という大前提があるように、私達の多くは感じている。「デザインだけが良くて、機能も性能も足りなくて高いものは製品として世の中に出ているはずがない」と思う。しかし、どうやら、最近それは「常識ではない。私達の思い込みだ」と感じられる場面が増えた。

例えば、米国のApple社のiPhoneなどのスマートフォンは、明らかに「高い」と感じる人も多く、それでいてデザインも良い、と言う人はまた多いが、そのデザイン以前の前提としての製品の機能や性能は価格に見合ったもの、と多くの人が思う。それだけではなく、ソフトウエア(アプリやOS)の自動アップデートなどの継続したサービスも充実している。そこに、Appleというメーカーの「信頼」があるから「次の新製品」も期待されるし、売れる。少々高くても売れる。

しかし、全てのスマートフォンのメーカーが同じように「高い。けれどもデザインが良くて機能も性能もサービスも良い」わけではない、というのが、今という時代なんだろう。A社と同じことがB社でもできる、ということではない。それが今だ。

【通販で最近良くあること、とは思うけれど】
ところが、最近は大手の通販でも「こんなものがここまで安く売っている!デザインもいい!」と、思って買ったら、デザインはいいが、機能や性能は期待はずれで、そのうえ、返品しようとしたら、その会社はもう存在しない、という例が増えて来ているように思うのは、私だけだろうか?もしも、そういうビジネスが当たり前になりつつあるのだったら、買うほうも警戒して、勉強して、より賢くなる必要がある。賢くなって、買う前にそれが見抜ける力をつける必要がある。その必要性が高まった、と思うのだ。しかし、その勉強は難しくない時代にもなった。インターネットがあるからだ。

【売り逃げ的ビジネスを考えている人がいる】
こういう「モノ(製品)の売り方」は、非合法ではない。合法だ。しかし、買った消費者は「騙された」と思う。騙された、という思いをしないために、買う側としては何をしたら良いだろうか?それを考えるためには、こういうビジネスをしている人の立場に立って、その考えかたを調べるのが良い。泥棒に入られないためには、泥棒が考えていることを調べて知るのがいい、というのと同じだ。

【自分が悪人になったつもりで考える「悪人のビジネス」】
自分が悪人になったつもりで、そういうビジネスのやり方を考えよう。この「悪人のビジネス」の目的は「安く作ったものを短い期間で高く売り、売り切って利益を出すこと」である。そこに、このビジネスの目的をフォーカスする。すると、そういうビジネスはこういったシナリオで行われる。

1.まず性能や機能は満たされていないけれども、デザインが良いモノをすごく安い値段で作る。

2.製品を広く宣伝して、性能に見合わない高い値段で売る。

3.買った人やその周辺の人が「これはデザインは良いが、機能や性能を満たさない。しかも高い」と感じて売れなくなるまで売る。

4.売れなくなったところで会社を畳むなど、ビジネスを撤退する。後の製品の壊れたときの保証などは合法的に免責される。つまり製品を売った後の保証にかかるお金も必要ない。

5.上記の「1,2」で投資したお金が、売上金より大幅に低いときは「ビジネスは成功」となる。

【「悪人のビジネス」が失敗するとき】
では、この「悪人のビジネス」が失敗するときとは、どういうときだろう?。このビジネスの「成功」は、上記の「5」で定義される。つまり、「5」の反対になることが、このビジネスの失敗になる。つまりこういうことだ。

6.上記の「1,2」で投資したお金が、売上金より大幅に高いときは「ビジネスは失敗」となる。

その失敗の原因は、おそらく、世の中にこのビジネスの仕組みが短い時間でバレて、誰もそれを買わなくなったからだ。モノが売れる、ということは、多くの人にその製品を見られる、ということだから、いずれこういうビジネスの仕組みはバレるので「バレるまで短期間でたくさん売り切る」ことがこのビジネス成功の鍵になる。

【消費者はどうしたらいいか】
そこで、消費者は、どうしたらいいか。製品の機能や性能の判断が短い時間で製品を買わずにはできない、と言う場合はどうしたらいいか。まず、欲しいと思った時点で買うのではなく「少し買い控えて様子を見る」ことだ。そして、買い控えているうちに時間が経ち、買った人たちの「評判」が世の中に出てくる。その評判を聞いて、改めて買うかどうか?を決めると良い。今はインターネットを使うと、製品が出た翌日には誰かが「買って使ってみました」などの評価をしている。「情報の足が速い」のが、今の時代だ。

【インターネットの時代に消費者が自衛のためにできること】
消費者の最低・必須の能力として、製品名をインターネットで検索して、その評判を確かめるくらいはしておけるようにしよう。このnoteにアクセスしている人は、それができる人だとは思うけれども。今はインターネットがあるから、それが「悪人のビジネスの製品」かどうか、非常に短期間で見抜けるようになった。

インターネットでの検索は、消費者が生きていくための、最低・必須のちからだ。そして、その能力は高齢者でも勉強で少しはつけることができる。

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