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現代の経営のDX化は「みずほ」を横目で見つつ。

【みずほ銀行を見ていてわかること】
昨今は大きな問題としてニュースなどでも取り上げられることの多い「みずほ銀行」のトラブルは、これから本格化すると言われている企業や組織のDX化にとって、大きな「反面教師」、悪く言えば「生贄」としての側面があるのは、なかなか否定しにくいところだ。「ああはなりたくない」と思われる方もおおいはずだ。これからの組織のDX化は、この「反面教師」を横目に見ながら行う必要がある、と言って良いだろう、と、私は思っている。

【みずほ銀行のトラブルの本質】
みずほ銀行のシステムトラブルを十数年、ITの技術者として外部から見ているが、銀行という信頼重視の固い人の組織は、デジタル化前まではしっかり機能していたのがわかる。まさに日本の銀行らしい、と言える優等生だ、と私は思う。しかしながら、デジタル化以降、特に銀行ATM稼働のような初期のデジタル化ではなく、さらに後の世代のスマートフォン対応などの時代の「デジタル化」から、急激に組織の老朽化が始まったように見える。私が見る限りにおいて、だが、組織が動かないのが悪いのではなく、組織が時代と共に変われなくなった哀れな姿がそこに見える、というほうが正しいだろう。それまでは組織の安定維持のために必要であったその組織の仕組みが、明らかにある時代から先は裏目に出ている、というように見えるのだ。

【変わったソフトウェアの基礎】
スマートフォンが出てくる時代の前までは、ソフトウエアといえば、一行一行しっかり書いていくもので、ソフトウェアそのものの信頼確保が、システム全体の信頼確保につながった。私もその時代のソフトウエア開発を体験している。しかし、ソフトウェアを書くのは人間だから、ソフトウェアの信頼性確保には人間のエラーをいかに少なくするか、が大きな課題だった。しかし時代は「OSS」「オープンシステム」の時代に変わった。今やあらゆるソフトウェアを動かす基礎となるOSそのものがOSSでありオープンシステム出身だ。同じ流儀でその上で動くソフトウェアを書かないと、どんなシステムでもみずほ銀行のようになってしまう可能性が高くなる。「10年以上前のやり方ではダメ」なのだ、と私は思う。簡単にまとめると、みずほのシステムは時代についていくことが出来なかったのではないか?そしてそれは日本の社会での優等生であるがゆえ、と、私は思う。

【どうしたらいいか】
この新しい時代のソフトウェアで重要で、以前と違うのは以下の要素だ。

1. 全く関係のない赤の他人が作ったソフトウェアを組み合わせて自分が書くソフトウエアは最小限にし、よりコストダウンを意識したシステムができる、という「オープンシステム」「OSS」。

2. システムを動かすインフラとしてのネットワーク、インフラがトラブルになったときを想定したアプリケーションを意識する。

3. ネットワークのさらに基礎となるハードウエアについて意識する。

【経営者としてDX化に必要なこと】
システム開発において、ITインフラの重要さに対する認識の浅さが問題になったのが、今回のみずほのトラブルのもとと言える。つまり、システム開発をしなければならない組織や開発したシステムを運営していかなければならない組織にとって、その会社の根幹を成すシステムの開発やメンテナンスにあたって、その人員には「ハードウエア技術者」と「ネットワーク技術者」をシステムの規模の最低一割の人員を割くことが必要なのではないか。現在のシステムは「見てくれ」「ユーザーインターフェイス」が重要だが、インフラは見えないけれども、もっと重要だ。システムにいくらお金や時間をかけても、出来上がった後、手放しでトラブルなしにはならない。

エンジンが壊れていて、走り出せば数時間でモクモクと煙が出てくるピカピカの赤いフェラーリを買った客は裁判で自動車の販売業者や製造業者を訴えるだろう。その事故で客の命がその欠陥による事故後もまだあれば、だが。

【現代の日本のシステムはなぜこうなったか】

現代のシステム開発への要求の第一は「コストダウン」だ。ソフトウェアを書くのは人間だから、コストダウンをしたければソフトウェアを書く人員を減らさないといけない。それを実現するため、ソフトウェア開発人員を極限まで切り詰めた。そういう意味では、みずほ銀行の経営者はよくやった、と褒められていい。

このみずほ銀行のシステムが作られている間、世界では「オープンシステム」「OSS利用」が進んだ。より安い金額でいかに信頼性を担保した上でソフトウェア開発のコストダウンを図るか?その結果として「オープンシステム」「OSS」が必要になったのだ。いずれもインターネットという基礎があってこそ世界で広がった。これらの勉強を怠れば、なにが大事でなにが大事でないかがわからない。結果としてお金をかけざるを得ないところにかけないで平然としていると、後に大きなトラブルを自らに呼び込む。場合によったら組織の存在を脅かす大事にそれは発展する。

【コストダウンは必須だが】
時代は変わった。そして動いている。コストダウンは必須だ。一方でデザインだけではなく、それを支えるインフラが重要だ。

時代が変わっても変わらないもの。それはインフラの重要性だ。

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