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牛乳配達の会社の社長を継ぎます

突然ですが、本日をもって、有限会社トウチク代表取締役社長に就任することとなりました。

何のことかさっぱり分からない人は、ぜひ昨年の誕生日に書いたnoteをご覧ください。
両親が経営してきた、僕がずっと継ぎたくなかった牛乳配達の会社です。
https://note.com/norihiko_2020/n/n6b5fc1e8acf9

先に言っておきますが、僕の人生のテーマは変わらず、ボランティアの可能性を探究し続けることです。
NPO法人おりがみもEarth Light Projectも、非常に重要な時期なので、今まで以上に頑張ります。大学院での研究も手を抜くつもりはありません。


それでは何故、継ぐことを決めたのか?
それは、どんなに体が弱っても、何を言っても働くことをやめず、体調を崩してふらふらになりながらも、「オリンピックの方はどうだい?」と僕のことばかり気にしてる両親を、どうしても放っておけなかったからです。
自己破産して、家を売って、どこかの田舎に引っ越す選択肢も本気で考えましたが、両親の小さな背中を見た時、それがハッピーエンドだとはどうしても思えませんでした。

本当のハッピーエンドは、自分の出自と正面から向き合って、貧困も家族の問題も、全てを乗り越えて、大切にしたい人たちと、大切な時間を過ごせる環境を手にすることだと思うんです。


きっかけは、こんなもんです。


でも、いざ継ぐことを決めてから、牛乳配達の歴史とか、現在の市場構造を調べてみると、これがなかなか面白い。

牛乳配達は、明治維新で職を失った武士を救済するところから始まり、明治・大正・昭和と、時代の流れとともに日本社会の中に日常に溶け込んでいきました。
近代日本の原風景のひとつとも言えると思います。
高度経済成長の終了と共に牛乳配達市場は落ち込みましたが、90年代以降に宅配専用商品の開発を受けて、V字回復をしてきたと言われています。

しかしながら、実際に長く経営に関わっていると、そのV字回復は、規制緩和を受けた大資本によるものであり、地域コミュニティからはどんどん乖離しているように感じています。
毎週2回、900件以上のお客様と継続的にやりとりをし、その健康ニーズに迫っているからこそ分かる地域課題も、きっとあるんじゃないかと思うんです。かつては、地域コミュニティは相互扶助の下で、町内会・自治会といった組織によって担われていた機能が、組織への参加率の低下と共に衰えています。だからこそ、「定期的に、顔の分かる関係」の中で交わされるやりとりを再評価しても良いんじゃないかと考えています。
「定期的に、顔の分かる関係」だからこそ、様々な地域課題の最前線に遭遇します。
孤独死、入院、貧困など、日常に潜むディープな問題たち。それらを本当に解決したいと思った時、ボランティアやNPO、分野越境型の取り組みが必要になります。

つまり、僕の課題意識と牛乳配達は、実は繋がっているんです。
いくつかの企業向けに個人でやっていた、企画プロデュース・コンサルの仕事も、有限会社トウチクの定款を変更して、続けていくことになります。トウチク自体も、地域課題をビジネスモデルに落とし込んで解決するような取り組みも展開していければと考えています。

もちろん、ビジョンから見直し、企業の戦略に落とし込むことは容易ではありません。
継ぐならその仕事に専念するべきという言葉ももらいます。

でも、世界にひとりくらい、宇宙とオリンピックを目指しながら牛乳を配り、ボランティアの世界を変えようとする若者がいても良くないですか?笑

信じる道を歩んでいけば、必ずいつかは繋がっていくことを信じて。
そしていつの日か、温かく穏やかに、笑顔にあふれる日常を手にできる日を夢見て。

NPO法人おりがみ 理事長
有限会社トウチク 代表取締役社長
千葉大学大学院人文公共学府 博士後期課程

この3つの立場を柔軟に使い分けながら、目指す未来に向け、精一杯頑張っていきます。


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