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久しぶりでも、友人

大学を卒業してからだいぶん経った後、仲良かった友人は、仕事や生活の変化にともなって、てんでバラバラに住んでいる。だから会おうということになっても、日程調整しなければ会えなくなってしまった。

それでも繋がっていたい友人だから、何かにつけ電話とか、メールとかで連絡をとっていた。今ではSNSを使うのだろうけど。

そんな友人の中で、生活が安定していない友人Aがいた。Aは大学を卒業してからも大学の近くに住み続け、派遣やバイトで食いつなぎ、いつもギリギリの生活をしていた。電気が止まることはよくあることで、水道も1度止められたことがあったくらい。

だからその都道府県に戻ることがあれば、必ず連絡して会うことにしていた。久しぶりで会いたいこともあるけど、ご飯を食べられているのかどうかとか、そういう心配もあった。

あるとき、友人のBから連絡が入った。Bも私と同じで、Aの近くに行くことがあれば必ず電話をしていた一人だ。BがAに電話をすると、電話が繋がらないというのだ。ただ電話代を払っていないだけではないのかとBに言ってみたが、前回会ったときに、仕事を辞めて、次が決まっていなかったから、心配だと言っていた。

そう言われると、私もだんだんと心配になってくる。かといって、新幹線で3時間かかる距離だから、すぐに駆け付けられるわけもない。

しばらく考えて、あまり連絡をとっていなかった1人の友人Cを思い出した。大学のときに、同じ部活でよく話しをしていたけれど、つるんで遊ぶということはなかった。友人Cはみんなと騒ぐというよりも、見守っている感じの静かな人だった。でも、何かの折に職場まで来てくれたり、困ったときに相談をしていた友人C。私が遠くに引っ越したあとは、年賀状だけでつながっていた。

その友人Cが、友人Aの近くに住んでいたはず。そこで思い切って、久しぶりに連絡をとってみることにした。友人Cに連絡し、ことの次第を話すと、友人Cも友人Aと面識があったので、快く引き受けてくれた。

友人Cが、その翌日くらいに時間を作ってくれ、友人Aの家を訪れたところ、仕事は見つからないままだったそうだけど、無事に生活をしていたそう。友人Aにも、そのことを伝え、安心していた。

そこからか友人Cから、たまに連絡がくる。それも、年を挟んで、何か思うところがあったときに。こういう付き合いもいいなと思う。


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