われわれは家畜である

われわれは家畜である
かつて誰にも飼われず
自由に暮らしていた先祖は
あるとき安定した食糧供給と
平和な生活と引き換えに
あなたたちに飼われることを決断した

それも一人の先祖ではない
様々な地域であなたたちはわれわれを誘い出し
飼い慣らし
乳を得たり肉を得たりした
われわれは食事を不自由なく与えられ
あなたたちはわれわれと争うことなく
われわれの乳と肉を得られる
両者Win-Winの関係である

われわれの乳は今のように豊富だったわけではない
われわれの子どもを養う分しか出なかった
それが今はどうだ
あなたたちが毎朝われわれの乳を飲んでも有り余るほどだ
われわれの肉は決して食肉にふさわしいものではなかった
それが今ではどうだ
他の種にないほど、柔らかくジューシーで豊満だ
あなたたちが毎日食べられるほど
賞味期限切れでフードロスが起こるほどだ

だがもし過去に戻れるなら
先祖たちにわれわれの今の姿を見通す予知能力があれば
彼らは今のような生活を望んだろうか
それは分からない
われわれのなかにも、昔に戻りたいと言うものもいれば
昔に戻るのはまっぴらごめんだと言うものもいる
あなたたちはわれわれのようになりたいか
なりたくはないだろう
少なくとも意識的には

しかし無意識的には
われわれのようになりたいという欲望が眠っている
食事に不自由せず
日々の安全を脅かされることなく
自分を飼う人を乳で喜ばせ
かわいがられ
寿命が来たら
または寿命が来る前にもっとも美しくおいしい頃に
全く苦痛なく安楽死させられ
食する人を喜ばせたいと

だがそのような未来を
もし否定するなら
必要以上に食べようとするな
くだらない敵対心を捨てろ
自分たちだけで得られる食に甘んじ
甘い言葉を投げかけてくるものからは遠ざかれ

さもなければあなたたち宇宙人も
より上位の力を持った存在に家畜化されるだろう
われわれ地球人のように