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日々の息継ぎ(詩集)

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眠りにつくための、毎日の詩作
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2023年6月の記事一覧

朝起きたらスマホになっていた

モバイルさん、モバイルさん、私を買って(私を狩って?) ふとそんな声を聞いたかと思うと …

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ライ様

ライ様、来たと、おばあちゃんが言う ピカとドン ピカと光ると 耳を塞ぎ ドンと鳴ると 目をつ…

ゆらげ

ひとしきりわななき泣いた 朝 霧 久しぶりに君を抱いて 見た 光 ああ、可憐な花 救い出そう …

1

我が名は愚者

我が名は愚者 以後、お見知りおきを 愚者の振りをした賢者などと 買いかぶってはいけません …

さかさまの世界

水たまりのあの子は どこをさまよっているのだろう 水たまりがなくなったら どこかに消えてし…

ミルク

ミルクを飲むと思い出す すえた臭いと 腐った学校の床 すぐに拭き取らないと臭くなるよ そう…

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どうにかなるんだから

君が大学にいた頃は 授業をたまにはさぼっていたね 朝がちょっと弱い低血圧女子で 教室に来ても居眠りしちゃう 高校の頃は真面目だったけれど 大学デビューしたの、と笑う 君とおしゃべりするのは最高だったよ 時がすぎるのも忘れてしまう そんな君が社会に出れば 結局会社の言いなりになって 朝から晩まで働き詰めで 居眠りなんか出来やしない 大人のような顔をしたって 本当はみんなそんなもんだって 時にはちょっとさぼってみたって 時にはちょっと泣いてみたって どうにかなるんだから

雨の車窓

雨の車窓は 左上から右下へ しずくをちらつかせ 田畑を切り取り なめるように 流し去る 街を…

予行演習

予行演習なんてかったるいな いきなり本番でよいよ と言っていたら、雨で中止 僕が思ったこと…

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泉の奥

泉の奥で炎が震える 冷たい耕土が つぼみのような土器を育んでいる 器のなかには種が宿ってい…

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音楽の始まり

タオルケットのなかで 子どもの音楽は始まる ||:すすっ    さす    すさっ    ぞ…

入道雲

入道雲よ お前は仏門に入ったのではないのか ならば入滅せよ 俺の前に立ちはだかるな お前は…

Y字路

あれは僕のY字路 そこを通るときには気づかない それがY字路だとは あらゆることが自分の思…

世界の重さ

世界の重さが俺にはわからない 教えてくれないか 最悪の出来事は俺には起こらない そう信じさせてくれないか 空は重すぎて アトラスも結局は支えきれない クロノスよ お前は最後の時がいつ訪れるのかを知っているか 「花なら咲いている 人なら死んでいる 同時に 今まさに」 そんなことは知っている 星降る夜に俺は願う あの娘が無事でいればと 彼女に連絡をすることもできないけれど このネット空間のどこかに 彼女は漂っているのだろうか 「花なら散っている 夏なら始まっている 同時