泉の奥

泉の奥で炎が震える
冷たい耕土が
つぼみのような土器を育んでいる
器のなかには種が宿っている
それは黄金色に
豊かにみのる定めであると
神々に仕える女たちは
教えてくれた

遠くで太鼓の音が聞こえる
時々ヘリコプターが上を飛んでいる

ここはかつて
人々が住む前は
海だった
今でもやはり
目を閉じれば
岬が見える
波音が豊かに
胸の鼓動をならす

私は静かに泉の奥に飛び込んでいった
死とは何か
いのちとは何か
その中間にある
夢とは
希望とは

ただの夢？
ただの欲望？
それとも
まだ見ぬ宇宙

この夢から目覚める頃には世界はどうなっているだろう
人々はいつまでこの大地の上にとどまるのだろう

私はそれを見届けるために
もっと上から見渡せるように
旅に出かけます

泉の奥から
海へとつながる
この岬の外へ
波のなかへ