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妻がつぶやいてくれたから気づけたある主夫の悪癖

僕には悪い癖がある。
それは自分が得意でないことで、他人がやってくれることがあれば、完全に他人任せにしてしまうということ。
一例を挙げる。

長女が誕生した時、仕事を辞めて主夫になった。
家事育児を一手に引き受けた、と言いたいところだけれど、僕は料理だけはしなかった。
料理が苦手だったという理由もある。
それよりも大きかった理由は妻の言葉だ。

「料理だけは私にやらせて。じゃないと私が家ですることなくなるから」
妻カッコイイ!というノロケは置いといて…

僕はその言葉に甘えて、料理のほとんどを妻任せにした。
看護師の妻は日勤の時は仕事前に朝食を。帰ってから夕食を。
夜勤の時は作り置きをしていってくれた。

僕の昼食は自分で簡単なもので済ませていたけど、問題は離乳食だ。
妻は離乳食も段階に応じて、作ったものを冷凍ストックしてくれていた。
僕はそれを解凍して与えるだけ。

本当を言えば妻もしんどくて料理を休みたい日もあったはずだ。
いや、はずだという推論はウソだ。
僕は「しんどい」と涙を流した妻を見たことがある。

その時僕は、外食とレトルト離乳食を選んだ。
決して自分で料理をがんばろうとは思わなかったのだ。
だって、料理だけは私にやらせてっていってたもん。

今でこそ子育て講座や夫婦講座をしているけれども、僕の主夫としてのスタートはそんな怠惰なものだった。
そのうちに次女が誕生した。幼児と乳児2人の子育て。
外食も大変だし、レトルト離乳食も限界がある。あまりにものバタバタにしぶしぶ料理を始めた。

その10年後の昨日、一緒に食料品の買い物に出かけた妻が絞り出すように呟いた。
「家計簿つけてくれてもええやん」
そう、僕は家計簿も妻任せにしてたのだ。結婚してから17年間ずっと。

妻は続けた。
「今月の生活費足りるかな、引き落しぶん残るかなって、ずっと独りで心配してんのがしんどい」
そんなこと、僕は全然気づいていなかった。妻がやっていてくれたから妻任せ。

僕には悪い癖がある。苦手なことを完全に人任せにしてしまうこと。




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