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PCとテントと小鳥と私【#ゆたかさって何だろう】

書くンジャーズ6月1週目のお題は【#ゆたかさって何だろう】

3月4月5月の3ヶ月、外に出る仕事がなくなり、ほぼ自宅待機状態だった。同時期に2人娘の学校も休校になった。看護師の妻以外は3人で自宅待機の日々が始まった。
自宅で色々と仕事を探して取り組んだ。ネットでできることもあれば、ありがたいことに週3で働いている派遣先もテレワークの仕事をくれた。

でも家にいることには変わりがない。空いた時間で家中を掃除した。とにかく隅々までピカピカに。水回りの水垢にカビ、窓の桟の隙間はもちろん天井まで全部掃除した。これまでにないくらい掃除を頑張った。年末の大掃除でもここまで徹底的にやったことはない。
ここまで徹底的に掃除ができた理由には、看護師として働き続けている妻への申し訳なさ、それに加えて意地もあったと思う。
掃除をやり尽くしても自宅待機は続いた。

ノートPCを自分の部屋から持ち出して、リビングで作業をしたりした。でも飽きた。
4月、気候がよくなったので庭にテントを張って、そこにノートPCを持ち出してみた。
机椅子が置けるほど大きいテントじゃないので、小さいちゃぶ台を持ち込んで地べたに座っての作業。
これが思いの外ヒットした。気持ちが良かった。

高二の長女はそれを冷ややかにみていたけれど、中一の次女は学校から与えられた課題を持って、テントに来ることもあった。
父娘でテントで作業したりお昼ご飯を食べたり。なかなか楽しかったけれど、次女はすぐに飽きたようで4月の三週目にはテントに来なくなった。
それでも週に3日くらいは独りテントで作業をした。

5月GW中のある日、テントのすぐ外に2羽の小鳥が降り立った。テントにはメッシュがあって、外が見える。たぶんムクドリだったと思う。つがいのムクドリは僕の目の前でしばらくいちゃついていた(ように見えた)。
2羽のムクドリはメッシュに遮られて、テントの中に人がいることに気づかなかったようだ。
ほんの3分程度だったけど、ムクドリのいちゃつきをみている時間は、何とも言えない平和な時間だった。

新しい楽しみができたと思った。それからしばらく、また小鳥が来ないかなぁと楽しみに週3、テントオフィスで待った。
けれども待てども待てども小鳥はやってこなかった。業を煮やした僕は5月の2週目の月曜日に、テントの外のメッシュの前にお菓子を砕いてばら撒いた。娘たちが成長して食べなくなり長い間お菓子箱の底に放置されていた『どうぶつビスケット』を。

お菓子を撒いてもすぐには小鳥はこなかった。もうあの平和な時間はやってこないんだろうか。絶望し始めたその週の金曜日、小鳥はやってきた!今度はスズメ。また2羽だ。2羽はいちゃつくこともなく、懸命にビスケットを嘴でついばんでいた。
人と直接会う機会が激減し独りでのPC作業。次女もテントに来てくれなくなった孤独の中で、僕は一瞬の豊かさを見つけたような気がした。

6月から社会は徐々に元に戻っていきそうだ。それでもたまにはテントオフィスを開設しよう。ビスケットを撒いて小鳥が来るのを期待しながら。


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