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世界初「市民ソーラーファブリック」設立プロジェクトがスタート 〜公共善エコノミーとCradle to Cradle®を基盤した経営を目指す

クライシス(危機)はイノベーションを生み出します。

南西ドイツBW州のなかにある人口4380人の小さな町Kirchberg(キルヒベルク)で、意義ある大プロジェクトがスタートしました。市民のお金でソーラーファブリック(ソーラーパネルの製造工場)を設立しようというものです。

この町には、1994年から活動する市民エネルギーイニシアチブ(NPO法人)があります。過去28年間、ソーラーや風力、小水力、バイオガス、木質エネルギーなど、市民出資で地域に再生可能エネルギー施設を数々建設し、運営してきました。この市民協会のこれまででもっとも大きなプロジェクトは出資額2,000万ユーロ(約30億円)。

その市民エネルギー協会が、今度はヨーロッパ中から市民のお金を集めて、世界初の市民ソーラーパネルの工場を建設しようとしています。これまでの事業とは桁違い。出資額約6億ユーロ(約900億円)、年間1500万個のソーラーパネルを生産する計画です。

これまで大資本や国の支援などによって設立、運営されてきたソーラーパネル工場をたくさんの市民のお金でつくる。こんなとんでもないアイデアが生まれたのは、ウクライナ戦争で、市民エネルギー事業の物資の供給の遅れや価格の変動で痛い思いをしたから。キルヒベルクの市民エネルギー協会は、中国産のソーラーパネルに頼っていました。自分たちの地域に自分たちのお金でソーラーファブリックを建設し、運営すれば、世界情勢に影響を受けにくい、事業のレジリエンスも高くなる、と。

言うことは簡単ですが、市民にそんな大事業ができるのか? このプロジェクトには、業界のビックパイオニアがバックアップしています。ドイツのソーラーファブリックQ-CellとSolonの共同設立者であるDr. Paul Grunow(パウル・グルノウ博士)や、ドイツの再生可能エネルギー法(2000年)の立役者の1人Hans-Josef Fell(ハンス-ヨーゼフ・フェル氏)です。

さらに市民協会は、この市民ソーラーファブリックを、中欧を震源に世界中に広がる「公共善エコノミー(独GWÖ=Gemeinwohlökonomie; 英ECG=Economy for the Common Good)」と「Cradle to Cradle®(ゆりかごからゆりかごまで)」の原則で、人にやさしい倫理的で意義のある職場の創出と、資源循環型の生産を目指しています。

参考リンク:

ドイツの環境ジャーナリスト フランツ・アルトの記事:
https://www.sonnenseite.com/de/wirtschaft/buergerinitiative-will-deutschlands-erste-buerger-solarfabrik-bauen/

市民ソーラーファブリックのプロジェクト:
http://bürger-solarfabrik.de

『公共善エコノミー』クリスティアン・フェルバー 著 / 池田憲昭 訳  (鉱脈社)2022年12月出版:
https://item.rakuten.co.jp/mippy/komyakusha_koukyouzenekonomi/
https://www.amazon.co.jp/dp/4860618408
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784860618407

公共善エコノミー(Economy for the Common Good)国際連盟のサイト:
https://www.ecogood.org

Cradle to Cradle® :
https://c2c.ngo/


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