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歴史を学ぶ上での語呂合わせの効用と弊害。

1.覚えるって難しいですよねぇ。

 子どものころに社会科が嫌いっていう方で、嫌いな理由として最初に挙げられるのは、「暗記するのが苦手」ってよく言われたものでした。
 僕はそれに対していつも返すのは、「英単語も、数学の公式も、化学記号も、古文の活用も全部暗記ですよ」って返しています。

 一番簡単に物事を頭に入れる方法は暗記です。これは間違いないと思います。何らかの形で頭に入ればですが。ただ、人によっては時間がよりかかります。あと、内容を理解していないと単に音の羅列を覚えただけですしね。

 記憶って自分に興味のないこと、必要と感じないことは受け付けないんですよ。だから、暗記って難しい。なんで、僕は勉強を教えるときって相手に興味や関心を植え付けることができるのかってことが大事だと思っています。興味や関心があればあるほど、人間には基本的に知りたいという意欲は備わっていますから、勝手に理解していくと思います。

 

2.語呂合わせの効用


 そら、興味や関心があれば何でも理解することは簡単でしょうけど、そんな簡単に興味や関心持てることはないと思います。人によって特性や向きが違うわけですから、知りたいことだからだといっても入ってこないことは山ほどあります。そのために何とかかんとか覚えようとする努力の結果が語呂合わせだと思っています。

 語呂合わせって一種の歌やことわざみたいになっているから覚えやすいんですよね。「泣くよ鶯平安京」とか「いい国作ろう鎌倉幕府」とか。覚えやすいし入ってきやすい。確かにあると思います。

 今までの話からして僕のことを暗記懐疑派って思われているかもしませんが、そうでもありません。最初はパワープレイで暗誦するのも一つの手だと思っています。江戸時代の学習法は基本素読して暗誦することでしたから。

 語呂合わせに戻りますが、素読は全文丸暗記に近い覚え方ですが、語呂合わせはピンポイントでその言葉を暗記するってことですから、良いのかもしれません。確かに僕も何個かはそれで覚えていますから。

3.語呂合わせの弊害

 物事にはいい面と悪い面が必ずあります。(詳しくは別の機会にお話ししたいと思います。)僕に本職であった人は100回以上同じ話を聞かさせて、「また、あいつのあの話始まったよ・・・。」と思われるぐらい、この話をしていますが、すべての物事において悪い面がないってことはあり得ないです。捉え方の問題ですから。

 で、語呂合わせの弊害なんですけど、ほぼネタバレになっているかもしれませんが、本質は掴めていません。早押しクイズのような一対一対応で言葉を覚える場合、例えば先ほど出した、「泣くよ鶯平安京」なんて言葉は、794年に平安京に遷都したってことですが、歴史で大事なのは、「何故、平安京に遷都したのか」ってことなんです。

 通説を簡単に説明しますと、平安京に遷都したのは、奈良の仏教勢力から逃れたかったということもありますが、何よりも100年近く天皇を輩出していていた天武天皇の血筋を引く人間ではなく、天智天皇系の桓武天皇が即位したこと、その時の都であった平城京は天武天皇系の天皇が建てた都であったことが大きいのかなと思います。

 「泣くよ鶯平安京」の裏にふと思いついただけでこれだけの内容があるのですが、これが出てこないのですよね。語呂合わせには。それが一番の難点。これも詳しくは別の機会に独立してお話したいのですが、歴史って因果関係の塊なんですよね、原因があって結果がある。それが全く出てこないのは難点だと思っています。歴史における語呂合わせてって。

4.「年号」を覚えることって意味あるのかなぁ?

 で、結局語呂合わせ否定派って思われてますよね。本当にそうではないのですよ。歴史で語呂合わせってどうかなって思っているだけで。

 語呂合わせって何が一番僕にとって引っかかるかを述べてませんでした。それが「年号」なんです。年号を覚えることに抵抗があるのですよね。

 その数字意味あるの?って思うのですよ。西暦って、ここでお話をするまでもなく、キリスト教でのイエス=キリストが生まれたとされる年を1年と基準にしたやつじゃないですか?日本史とは言ってしまったら関係ない。

 あと、先ほど出した「いい国作ろう鎌倉幕府」ですけど、これって1192年に源頼朝が当時の朝廷(院)から征夷大将軍に任命された年であって、今の研究では必ずしも1192年を鎌倉幕府の成立年として確定を出していないんですよね。てか、源頼朝が実効支配する政府機構は出来てたから。それ以前に。

 だから、あえて鎌倉幕府の話を出した訳ですけれども、僕が鎌倉幕府の成立について説明する場合はさまざまな説があるからということを述べた上で、それまでの実行支配を朝廷(院)から「地頭・守護の設置」で認められた1185年ではないのかな?って感じで説明してますね。

 ま、これも「いい箱作ろう鎌倉幕府」って覚える荒業があったりするのですが。(笑)鎌倉幕府って語呂運に恵まれているよなぁって思いました。これを初めて聞いたときは。

 こうやって、後年の歴史解釈や研究の成果などで今までと違った結果になることもあるのですよね。そうなると語呂で覚えるのってどうかなぁって。特に歴史においては思います。

 最後にですけど、これを言ってはおしまいになるのですけど、西暦ってイエス=キリストが生まれたとされる年を1年と基準にしたって説明したじゃないですか?これ、後年の研究結果で実は4年から6年ズレていることが分かったんですよね。

 今、それをずらしてしまうといろいろなところで問題が生じるから、当時の研究でイエス=キリストが生まれたとされる年を1年と基準にしたってなっているんですけど、最初にまどろっこしい書き方にした理由わかります?そういうことなんですよ。

 だから、ズレている可能性のあるものを歴史の場合は必死に覚えなくていいんですよ。何かあったからこの結果さえ理解できていればって思っています。

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