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「区別」と「差別」は違うよ。

1.ことの発端。

 少し前、同業の後輩から電話がかかってきました。
 「先輩、こんな話があるんですけど・・・。」
 こんな話の内容を記事で引用します。

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/4475/00431549/01_monka_0494.pdf

 あ、行政文書ってわかりにくいですよね。保護者向けに分かりやすいのをみつけました。これです。

https://school.higashiosaka-osk.ed.jp/tamami-e/attach/get2/663/1

 要は、一般校での特別支援学級は半分以上は特別支援学級に居ろ、それまでは通級での指導にしなさいってことで。
 確かに、文部科学省の出しているインクルーシブ教育システムって、よくできていると思うんですけど、これって悪手なんですよね。
 特に特別支援学級に来ている生徒については。

2.何が悪手なのか。

 まずはこの記事を読んでください。

  大阪では現学級保障という、インクルーシブ教育システム(こういう風に文部科学省はいうけど、僕は違和感ありありです。)が成立する前から行われていたものがあって、現在でいう、特別支援教育が必要とされる児童・生徒に対しての保障があって、それが紆余曲折ありながら定着していたのですが、それを否定するものなんですよね。

 で、通級による指導もあるんだから、それも含めて運用していけばいいでしょ?ってのが文部科学省の見解なんでしょうけど、通級による指導ってのが正直見えてこないんですよね。運用として。
 あと、通級による指導がすべての学校に置かれていたらいいんですけど、お金かけないために、すべてに置かれてなくて、自分の通っている学校にない場合、保護者が送迎しないといけないんですよね。

 その送迎に物理的に不可能なんですよね。働いている方が多いのもありますし。何よりも移動している間に自分の学校にあったら教育できるでしょ?ってのが一番の問題点であって。

 そういったことがあるから、悪手だと思うんですよね。
 後輩も言ってました。これは揉めるよって。

 それでいろいろな処で揉めているのか、文部科学省は先月見解を出しました。

  文部科学省も特別支援教育を受ける児童・生徒は増えるし、教員は増員したくても、なり手が居なくて増やすこともできないから、こういった運用を変えてってことなんでしょうけど、最近の文部科学省にしては非常に悪手だなぁって思うのが僕の見解です。

3.「差別」ではなくて「区別」

 あと、さっき運用したこの記事。また引用で出しておきますよね。

 後半は原学級保障とは違うことなんですけど、国連で「特別支援学校は分離教育だから差別になるのでやめろ」という勧告が出たことに関して、当事者の見解などを交えて書かれてますけど、これもなんだかなぁと。

 文部科学省の「インクルーシブ教育システム」(書いて、もともともインクルーシブの概念からしたら違うけど、それ書いたら本意とズレる)からして、昔と違うんですよね。

 10年度前に就学についての制度が変更となり、保護者や本人の意向が大きくなりました。それまでは学校や行政の意向が強かったのですが、今は基本的には保護者の意向が大きいです。

 得てして、自分の当時の感覚で今もそうだって仮定で話されているなってイメージが強いなって関係者としての記事に対しての印象ですけど、分離教育がダメだってなら、現状で一般校に全員特別支援教育を必要をしている重度の児童・生徒さんを一般校に移動させるってことなんですかねぇ。

 まあ、そんなことしたら特別支援教育を必要としている児童・生徒さんは教育をきっちり受けられないと思いますよ。周到に準備をしないと。

 もちろん、特別支援学校での教育でもマイナスなポイントがあります。一番は同年代との繋がりという部分では人数が少ないので社会性が育ちにくいであるとか。

 でもね、それが分離教育なのかと言われると違うんですよね。
 そもそも、制度上、自分で選べるんですよ。今は。
 自分の昔の経験だけで、差別だとか分離だとかやめてもらいたい。
 むしろ、今の形で育つ子がいっぱいいる。

 自分の意志で選べないのに、それを差別だ分離だというのは違うと思います。区別です。一般校に行きたい人は行ったらいい、特別支援学校に行きたい人は行ったらいい。その人によって、時期によってどっちが良かったってのも違いますから。

 むかし、ある方が言っていたことが凄く印象深いことがあります。
 その方の息子さんは特別支援教育の対象で、中学校進学の時に特別支援学校か中学校を見学して迷って、中学校に進学されました。
 その後、中学進学の時に迷われた特別支援学校の高等部へ進学したのですが、卒業時に「中学部から行かせたら良かった」っていう話があって、この手の話の時にいつも思い出します。

 むしろ、現状で特別支援学校を廃止して一般校にすると、人間は必要、物も必要ってなって教育費が何倍かかるんでしょうねぇって思うわけです。
 現状で、日本の教育費って相当低いんですよ。
 借金がいっぱいあるって状況で、今の渋ちんが教育費を倍出すってことを考えるだけで、「ないなぁ」って思いますし。

 その前に近未来には教員、保育士などの給料を上げていかないとって場面になると思います。
 なり手が居ないんですよ。
 なり手がいないところで手っ取り早く確保するには人件費を上げざるを得ない。
 人件費は費用の中で一番を占めますからね。
 その上にまた何倍もかかることするとは考えにくいんですけどねぇ。

 その辺まで考えてものを言われているのか甚だ疑問ですが。



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