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【スクワット】ローバーとハイバーでは『足幅』が変わる理由

バーベルスクワットをするときには、担ぐポジションによって名称が変わり、三角筋後部の上面辺りで担ぐのを「Low bar(ロウバー)」と呼び、僧帽筋上部辺りで担ぐのを「High bar(ハイバー)」と呼びます。それぞれの担ぎ方によって足幅やしゃがみ方を変える必要があります。担ぎ方が同じなのにしゃがみ方や足幅が変わらない人は、

『しゃがむ深さが浅い、腰に無理しながら挙げてる、殿部の力が抜けてる』

のような問題を抱えたままスクワットをしてる可能性があります。
それぞれの担ぎとしゃがむときの特徴、エラー動作を解説していきます。

ローバーポジションのフォームと特徴

ローバースクワット(以下、LSQ)は背中で担ぎます。背中と腕で挟み込むイメージで、足幅は広めになります。個人差が大きいですが、肩幅に踵を合わせるくらいが理想的な人が多い印象です。

スタートポジションは上半身は少しだけ前傾姿勢になります。しゃがんだときにはバーの中心線からの膝と股関節のバランスでは、股関節との距離の方が少し長くなります。そして上半身の前傾角度は高くなります。

上半身の前傾が強くなるほど、背部~腰部への負荷が高まるため、「脊柱起立筋」の活動が高くなります。そして骨盤の前傾も合わせて強くなると、「ハムストリングス」の活動も高くなります。中心線と股関節の距離が離れるほど「大殿筋」の活動が高くなります。

もちろん膝関節を支える大腿四頭筋の活動も働きますが、腰から殿部やハムストリングスなどの後面の筋肉を鍛えるのが有効なトレーニングとなります。

注意点

LSQでは、背中でバーを担ぐときの肩~肩甲骨~背中の柔軟性が必要となります。もし適度な柔軟性がないと、肘が後ろに張り出して肩や手首を痛める原因になり、背中が丸くなることで「バットウインク(骨盤の後傾、腰部後弯)」が起こる原因へと繋がります。

そして足幅を広くすることで、殿部の力が抜けたり大腿四頭筋で膝を支える力が抜けると「ニーイン(膝が内に入るエラー)」が起こり、膝や股関節を痛める原因へと繋がります。

ハイバーポジションのフォームと特徴

ハイバースクワット(以下、HSQ)は首の少し後ろで担ぎます。LSQでは背中と両手で挟み込むイメージでしたが、HSQは僧帽筋の上部にダイレクトに乗せるイメージです。足幅はLSQより狭めで股関節幅に踵を合わせることでしゃがみやすい人が多い印象です。

スタートポジションはLSQより直立に近い姿勢で、しゃがんだときには中心線から膝関節の距離が長くなり、上半身の前傾角度は浅くなります。

膝関節と中心線の距離が離れることで「大腿四頭筋」の活動が高まり、股関節と中心線の距離が短くなり大殿筋の活動が少し弱まります。そしてLSQと大きく違うのが、上半身や骨盤の前傾角度が浅くなるので、「腰部脊柱起立筋」と「ハムストリングス」の活動が低下していきます。

腰とハムで支える力が働きにくいので、多くの人はHSQで扱える重量が低下していきます。

注意点

HSQでは担ぐときにダイレクトに重量が乗るので、物理的に頚部(首)を痛める可能性があります。担ぐ位置が少しズレるだけ脊椎に対してストレスとなるので慎重に担ぐ必要があります。そして骨盤の前傾が浅くハムストリングスの緊張が抜けやすいので、膝関節にかかるストレスも大きくなります。膝関節は大腿四頭筋とハムストリングスの引き合いによって膝の前後を支え合っていますが、大腿四頭筋の活動だけが目立つと膝前面へのダメージにも繋がります。これを防ぐためにもフルボトムまでしゃがむのはおすすめできません。

間違った足幅でしゃがむと…

ではタイトルに戻って、LSQとHSQでそれぞれフォームを当てはめていきます。

HSQのバーの担ぎでLSQの足幅

僧帽筋の上部でバーを担ぎ、肩幅ぐらいの足幅に設定するとしゃがむときに、股関節のつまり感やしゃがみにくさが起こりやすいです。

足幅を広くすることで、お尻を後ろに引くような動作がしやすくなり、殿部の活動が働きます。ただお尻を引くときには自然と上半身の前傾姿勢が必須となります。HSQでは上半身の前傾が浅くなるので、お尻を上手く引けずに股関節のつまり感やしゃがみにくさに繋がっていきます。

足幅を広くすると股関節の外転や外旋の運動を取り入れることができますが、HSQでは股関節の「屈曲」角度を高めることで自然と膝を前に出すことができてしゃがみやすくなります。結果的に大殿筋の活動が高まります。

LSQのバーの担ぎでHSQの足幅

三角筋後部の上部でバーを担ぎ、足幅を狭くすると股関節の屈曲角度が高くなりすぎて、バットウインク(骨盤の後傾)や股関節のつまりが起こります。

LSQでは骨盤~上半身の前傾が高まり、股関節の屈曲角度に余裕がなくなります。股関節を窮屈にさせないために、足幅を広くして股関節の外旋と外転方向に逃がすことで上手くしゃがむことができます。

まとめ

バーベルスクワットにおいて、LSQとHSQは足幅をしっかり変えていく必要があります。それぞれの特徴を活かした足幅に設定することで自然にしゃがめむことができて、股関節の窮屈感がなく殿部の活動が高くなります。
もし足幅を変えずにLSQとHSQをしている場合、一度試してみてください。

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