乗越たかおダンスマガジン評論集【お試し版】 1
本書は2013年11月号から、2023年3月号までダンスマガジン誌(株式会社新書館発行 https://www.shinshokan.co.jp)に掲載された乗越たかおの舞踊評論をまとめた「集成版」のお試し版です。
1パックに評論が4本入って各300円とお値打ち価格で、気になる演目だけ読むのも可。第一弾は全21+1パックのラインナップで約10年間の流れがわかります。
※無断複写・転載を禁じます。この資料は、許可なく公開、書き換え、または再配布することはできません。
■2013年〜
ラスタ・トーマス『BAD GIRLS meets BAD BOYS』
(初出 ダンスマガジン 2013年11月号 約1200字)
イタズラっ子のような笑顔とずば抜けた身体能力で若い頃から注目されていたラスタ・トーマスが、自ら率いる『バッド・ボーイズ・オブ・ダンス』を引き連れて来日した。世界中で500ステージを超える人気作品だが、今回は元宝塚を含む女性ダンサー達「バッド・ガールズ」をマッチングさせる企画である。
構成は女性陣の『バッド・ガールズ:ショウケース』(振付:原田薫)、男女混合の『バッド・ガールズ・ミーツ・バッド・ボーイズ』(合同振付)、そして男性陣による『バッド・ボーイズ・オブ・ダンス:ロック・ザ・バレエ』(振付:エイドリアン・カンターナ)。その両者をつなぐ『ザ・ストーリーテラー』という短い景のMCとしてTAKAHIROが活躍していた。自身がNYのアポロシアターで9週連覇するほどのダンサーであり、実に良いアクセントになっていた。
元宝塚男役トップスターの湖月わたるや水夏希に加え、原田薫など5人からなる『バッド・ガールズ』は迫力満点。原田の振り付けは、バレエからショウダンスまで幅広く、出演者の個性を引きだしていた。ただ全体に「大人の悪女」のイメージが強すぎたのではないか。ラスタ達「ボーイズ」が「悪ガキ」のチャーミングさと躍動感、そして大人のセクシーさまでも存分に発揮していたことを思うと、「ガールズ」の表現の幅はもっと広くとってもよかったろう。それはとくに両者が共に踊る第二幕で顕著になっていた。
満を持しての第三幕は副題に『ロック・ザ・バレエ』とあるように、マイケル・ジャクソン、クイーン、プリンスなどの曲が使われ、ノンストップで疾走する。特に
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