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奈良旅 2022秋~② 新薬師寺 天平の十二神将像

~はじめに~
この記事は、2022年秋に奈良へ旅した際の記録です。今年ではありませんのでお気をつけください。


新薬師寺

天平19年(747)、一度は奈良のみやこをはなれた聖武天皇が再び平城宮へもどり、大仏造立が再開された時代。体調を崩した天皇の病気平癒を願って、后である光明皇后によって創建されたのがこの新薬師寺です。

東大寺の大仏開眼が752年なので、それより5年前に創られたということですね。東大寺の修二会は有名ですが、新薬師寺でも毎年4月8日に修二会が営まれます。『おたいまつ』も登場するので、いつか見てみたい。

南門入り口

入口の拝観受付は無人で、勝手に入っていいのかどうか迷いましたが、とりあえず柵(たぶん鹿よけ)を動かし、境内に入ります。

本堂(国宝)

ガイドブックなどでよく目にする奈良時代の本堂が正面に見えます。写真だと大きさがわかりにくいですが、わりと大きくどっしりしている割には白壁のせいか圧迫感はありません。簡素です。

鐘楼 2階建て!


稲荷社と石仏群

拝観料も払わずに境内をうろうろするのも落ち着かないので、とりあえず本堂入り口へ向かいます。

横に入り口が

入って驚いたのは、券売機があったこと!
人手不足なのでしょうか、なんと奈良時代の国宝本堂のなかに券売機があろうとは・・・。そして拝観券と御朱印券を購入。

しおりも進化していました。11年前は白黒で小さな字だったのが、カラーで見やすくなり、表紙もバサラ大将から本尊の薬師如来へバトンタッチ。

新旧しおりくらべ

窓がない堂内は暗く、唯一のあかりは像の前に置かれたロウソクだけ。暗闇のなかに浮かぶ薬師如来と、それを守るようにぐるりと取り囲む十二神将像からは、迫力と同時に幽玄の美を感じました。私たちの他には5人ほどしか人もおらず、とても静かな世界です。

堂内は撮影NGのため、しおりの写真を参考までに。

実際はもっと暗い

十二神将像は一体をのぞいて、奈良時代に作られた塑像で国宝。十二像それぞれに守護する干支があるので、自分の干支の守護像をさがしてじっくりとお顔をみつめる。(わたしは午の珊底羅サンテラ大将)

薬師如来のお顔もなかなか良いですよ。目は大きく見開き、はっきりとした黒目と目を合わせると、すべてを見透かされているような感じがします。

国宝の堂内で、まるで舞台に立っているかのような国宝の像たちと静かに向き合える、こんな空間はなかなかありません。いたってシンプルですが、それがさらにこの場所を魅力的にしています。

本堂をでると会津八一歌碑のそばに、ーバサラ大将の天平の色彩をCGで再現した映像をこちらで放映していますーという案内板が目に入り、せっかくなので見て行こう、となりました。

庫裡へ靴を脱いであがったさき、畳のへやでVTRが上映されていました。先客2人が退席してからは、わたしと友人の貸切状態に。

現代のバサラ大将にわずかに残っている彩色をもとに、分析科学でCG再現されたお姿は、よくいえばカラフル!とっても派手!
顔は真っ青、装具品は濃い緑・金・赤(信号機?)、一体でもすさまじい迫力と存在感。これが12体並んでいる様子を想像すると・・・まったく落ち着きません。わたしは今のお姿のほうが好き。

映像を見終わり外へ目をむけると、このお庭がまたとても素敵なことに気付きました。季節によって変わる色や高さのバランスなど、きっと全て計算されて配置しているのでしょう。とても、美しい。

ここでお抹茶がいただけたら最高だろうなぁ。

椅子が映っていますが・・


灯籠と紅葉と苔

特にお庭の説明は見当たらなかったのですが、あとで読んだ新薬師寺の本には『織田有楽斎の庭』と書かれていました。

織田おだ 有楽斎うらくさい
歴史好きの方はきっとご存じ、織田信長の弟です。(わたしは知りませんでした)千利休に茶道を学び、のちに自分で有楽流を創始しています。なかなかの世渡り上手で茶人としても活躍したそうなので、こちらの庭づくりにも関わったのかもしれませんね。

この美しさ

すばらしいお庭にすっかり魅了されました。紅葉だけでなく新緑の季節もとても美しそうなので、新薬師寺に行かれるかたはぜひ、本堂だけでなくお庭も眺めていってほしいなぁと思います。

全体として、しっとり詫び寂びの雰囲気ただよう大人向けのお寺だと感じました。きっとまた訪れることでしょう。


ー次回、写真家入江泰吉の世界 または 奈良ホテルの魅力 へつづく


<奈良旅 2022秋シリーズ>

note公式マガジン”国内旅行記事まとめ”に取り上げていただきました。
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