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山種美術館を訪ねて vol.2

4月に初めて訪れ、日本画の美しさとカフェのお抹茶セットの美味しさに、すっかり魅了された東京の山種美術館。今回の小林古径こけい速水御舟はやみぎょしゅうの特別展をどうしても見たいと思い、先週再び訪れました。

それにしても、3ヶ月もしないうちに2回目の訪問。このペースでいくと年5回を超えるかもしれない。それなら年会員の山種メンバーズに入会した方がお得かも、なんて考えるほどに山種美術館を気に入ってしまいました。

渋谷でメインの用事を済ませたあと、ビル群を眺めながら明治通りを歩いて恵比寿方面へ向かい、15分もしないうちに到着。

道の向こう側、大きな建物が山種美術館
入り口

この『山種美術館』の文字は、日本画家で能書家でもある安田靫彦ゆきひこ氏の揮毫とのこと。一度見ると印象に残る、味わい深い字です。

こちらが、今回の特別展。

このフライヤーのかっこよさ!見惚れてしまう。

特に右側、速水御舟の『炎舞』は、どこかで見たことあるという方も多いのではないでしょうか。(そういう私も、お宝鑑定団で何度か目にしました)

展示室入り口に置かれていた出品リストを手に取ると、お目当ての作品は第二展示室に展示されている旨書かれていたので、そちらは最後のお楽しみとし、順番どおり第一展示室から見ていくことにします。

全ての作品を隅から隅までじっくり見るつもりはなかったのですが、最初の展示品でいきなり心をガシっと掴まれてしまいました。

小林古径 『菖蒲』(これは絵葉書)

なんて、品があって爽やかなんだろう。いまの時期にぴったり。

実物の作品は大きく、まるで『いらっしゃいませ』と菖蒲の花に言われているかのようです。老舗旅館の玄関に活けられたお花のような、お出迎え作品。すっかり山種ワールドに引き込まれました。

しばらく進むと小林古径の<清姫>シリーズ全8面の展示エリア。
横長の作品がずらりと壁一面に並べられ、ここはさらっと見るつもりだったのですが、目に留まった『熊野』の文字。

熊野ですと?

描かれていたのは、大斎原おおゆのはら(旧社地)に佇む熊野本宮大社。まさかここで本宮に出会えるなんて!しかも熊野の記事を書き終えたこのタイミングで。

まるで、「お疲れさま~、よく書いたね~」と労ってもらえたようで、嬉しくなりました。なんて粋な計らい、シンクロですね。

山種美術館の特別展では、写真撮影OK(スマホ、タブレット、携帯のみ)の作品が1点展示されるのですが、今回はそれがまた、私の大好きな奈良が描かれたものでした。

小林古径 『弥勒』

奈良県室生むろうにある弥勒摩崖仏です。
なかなか大きさが想像しにくいかもしれませんが(左下に小さく人が描かれていますね)、実物はかなりの大きさです。

私はこの優しいお顔の弥勒摩崖仏が大好きで、室生寺に行く際には必ず立ち寄り、しばらくぼーっと眺めるということをしていました。懐かしい。

そしてこの絵の前でも奈良を思い出しながら少しの間ぼーっとして、心が満たされたので、いよいよ『炎舞』が待つ第二展示室へ。

第二展示室は作品が6点ほど展示できるくらいの小さな部屋で、第一展示室に比べると照明も暗く、絵画にとってのVIPルームといった雰囲気です。

その第二展示室の入り口正面に、速水御舟の『炎舞』がありました。
圧倒的な存在感。闇の中勢いよく燃える炎と、らせん状に巻き上がる煙に群がる色とりどりの蛾。

御舟は夏の間滞在した軽井沢で毎晩焚火をし、炎に群がってくる蛾を観察したそうです。蛾と聞くと、あまり見たくないし美しくもない、と私は思ってしまいますが、それがこんなにも妖しい美しさで描かれるとは。

テレビの画面越しではなかなか伝わらなかった迫力と存在感、しっかりと受け取ることができました。館内は人もそれほど多くなく、満足いくまでじっくりと眺めることができたので良かったです。(2周しました)

至福のひとときの後は、やっぱり至福のいっぷく。

今回も可愛らしい和菓子 幸せ💛

そして次回の特別展はこちら。現代作品も展示されるようですよ。

やはり、美術館はいいですね。心が豊かになります。
これからもこうして時々美術館を訪れ、学んだことや感じたことを記事として残していこうと思います。なによりも、自分のために。

#山種美術館
#古径と御舟展

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