紅色の季節にあなたと。

私は大学三年生になった4月フットサルを始めた。発端は友人をチームに紹介して、断る理由もなく、なんとなく入団した。気づけば葉は紅色の染められ、シーズン2年目も佳境に入っていた。

ボールをなんとなく止めると、すぐに相手が距離を詰めてくる。激しチャージで失う私。ボールを保持してドリブルを仕掛けてくる人に対し、圧倒的敗北を繰り返す私。何度も感じた差。自身のプレーの不甲斐なさに何度も匙を投げそうになる。しかし私の足は止まることはなかった。この感情に相対して何かに向かう両の足。私は何を目標に。何に向かってこの足を前に進めるのか。でも体の内側の潜む激情に抗う術はなかった。レベルの高い環境下の中、私は目の前にいるメンバーと違う世界の中でいつだって自分と話をしていた。家に帰って、自暴自棄になって酒を体に流し込み、眠りにつく。次の日朝起きると、フットボールが恋しく思う。思えばその繰り返しだった。
「私あなたと別れるんじゃない。あなたを愛した自分と別れる」というひどく美しい文字の羅列を見たことがあるが、その通りだった。私はこれでプレイヤーとしての僕とお別れをする。同級生は大半が高校三年生でお別れをしているが、私は少し留年してしまったみたいだ。さようなら


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