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北大道路補修工事に関する札幌市の再々回答への返信(5月19日)

北大道路補修工事の差し止め要求(2020年4月9日)について、札幌市からの再々回答(5月12日)に対して以下のように返信しました(やり取りの全体はこちら)。

前回、道路補修工事(環境評価・使用資金・実施の判断)については北大に責任があると回答された一方、⑴マラソン開催が市民や子供の財産になると判断した際の論拠、⑵北大構成員から意見聴取する機会の有無、⑶⑷⑸道路補修工事に関する細かな責任の所在について不明確だと思われたため、その点を確認しています。

札幌市への回答(5月19日)

お忙しい中ご返信ありがとうございました。
特に、北大の道路補修工事(環境評価・使用資金・実施の判断)について、北大に責任があるとのご確認ありがとうございます。

他方で、返信いただいた内容を学生で検討したところ、ご回答には下記の疑問が残りました。
繰り返しで恐縮ですがご回答をお願いします。

⑴ 五輪マラソンの札幌開催について

市民から賛否両論ある中、IOC・組織委員会・国・東京都の決定を重く受け止め「市民、特に未来を生きる札幌の子どもたちにとってかけがえのない財産になると判断し」受け入れたとのこと確認しました。

しかし、この「市民、特に未来を生きる札幌の子どもたちにとってかけがえのない財産になる」という判断は、具体的にどのような根拠に基づきなされたのでしょうか。例えば、新型コロナウイルスの影響も受けてなお膨らむマラソン開催の財政支出が、札幌の子どもたちにどう財産となるのでしょう。また、拒否権の行使も議論もなく開催の受け入れがなされた事実や、市民の親しんできた催しや日常生活の犠牲をもって余りある財産とは、どのようなものでしょう。加えてその財産は、東京五輪に指摘される収賄容疑や経費膨張、会場建設に伴う住民被害等の問題に比してなお優先されるものなのでしょうか。財産の内容、および各種問題点に比してそれが優先すると判断された議論ないし計算等の根拠をご提示下さい。

さらに、市議会、沿道の町内会、商工団体の関係者と意見交換を実施されたとのことですが、コースの中で大きな比率を占める北海道大学の構成員とも意見交換されたのでしょうか。(全員でなくとも)北大教職員、学生は市民の一員であり、市民活動・経済活動への影響を考慮するなら、北大構成員からも意見聴取の必要があると考えられます。


⑵ マラソンコースについて

前項の北大構成員への意見聴取について、コース決定権限はIOC、組織委員会、世界陸連にあり、「施設の管理者である北海道大学が研究や教育への影響の有無等についても考慮した上で、総合的に判断し、受諾したものと理解しており、本市としては北海道大学の判断を尊重したいと考えております」とのことから、北大内のことは北大当局に申し出るべきと考えられるかも知れません。

しかし、北大生はすでに学内掲示板で意見聴取の実施の機会について質問しており、当局は学生や教職員から意見聴取する予定はないと回答しています。この状況で、札幌市民である北大構成員はどこで意見聴取の機会を望めばいいでしょう。北大構内の使用について疑問や反対の声があることは既にお伝えした通りです。コースの決定は、札幌市によるマラソン開催の受け入れに起因します(コースの決定権限はその後の話です)。北大が構成員から意見聴取しないと明言した以上、札幌市民である北大構成員に対して、札幌市が説明責任を果たす必要があります。もし、札幌市の姿勢が北大当局への意見聴取に留まるとすれば、北大当局が構成員から意見聴取しないと明言している以上、必要な対応がとられているとは言えません。市議会、沿道の町内会、商工団体の関係者と意見交換しながら、北大構成員を除外するなら市政上問題があります。

加えて、特殊な研究設備があり、多様な研究・教育活動の行われる大学での五輪開催は、当事者から問題点を聴取することなしに進められるものではありません。「IOC、組織委員会、国、東京都による札幌移転への決定が、国家的行事である東京2020大会全体の成功を左右する極めて重大なものと受けとめる」のであれば、特殊な環境で活動する北大構成員から意見を聞かないのは不合理です。

以上より、北大構成員からの意見聴取が必要と考えられますが、札幌市にその機会を設ける意志はあるでしょうか(オンラインでも可能です)。もしそうした機会を設けるつもりがないのであれば、その理由をご提示下さい(すでに述べた通り、「北大当局の判断を尊重」「北大当局への意見聴取」のような回答は、北大構成員から意見聴取を行わない理由とはならないためご遠慮下さい。問題は札幌市の説明責任と考えておりますし、適正に意見聴取がなされたなら、その事実は市民の財産になると考えております)。

⑶ 北大の道路補修工事について


「工事の内容(環境評価・使用資金・実施の判断)につきましては、施設管理者である北海道大学の責任の下に検討される事項である事を双方確認しております」とのこと了解しました。今後「環境評価・使用資金・実施の判断」については、北大に問い合わせます。

他方で、「環境評価・使用資金・実施の判断」以外の工事の責任(例えば工事後に五輪コースとして評価した際に工事に不備があった場合の責任)も北大に帰属すると理解してよいのでしょうか。確認したいのは、構内の道路補修工事にかかる全ての点で札幌市は責任を負わないのか、ということです。

次項二点はこの点に関する具体的な疑問です。

⑷ 感染症対策について

感染症対策について「受注者と情報共有を図りながら、感染拡大防止ならびに工事安全管理に努めてまいります」とのことですが、前回の質問の趣旨は、そうした取組を前提した上で、感染者が出た場合の工事実施の責任は誰に帰属されるのかというものです。

今回のご回答で「環境評価・使用資金・実施の判断」は北大に責任があると明記していただきましたが、前回も指摘したように責任の所在が曖昧になりやすい工事形態ですので、感染者が出た場合に工事を実施したことで北大に責任が帰属されるのであれば、そのように明言しておく必要があります。

(5) 工事関係者の喫煙場所について

さらに、これは新たな疑問ですが、工事関係者の喫煙場所は北大と札幌市、どちらの責任で設けられるのでしょう。工事現場では関係者の「喫煙所」を設置するケースが多いことはご承知かと存じます。北大は2019年7月1日に大学施設内の喫煙室を廃止し屋外に喫煙所を設けていますが、工事関係者はどこで喫煙されているのでしょう。

仮に札幌市が工事施工の責任をもって北大に喫煙許可を求めるなら、ご回答いただいた責任理解の例外に見えます。あるいは、これも北大が自らの責任で喫煙場所を指定するのでしょうか。あるいは、北大近辺の公道は「喫煙制限区域」ではないためそこで吸うことも可能かもしれませんが、公共空間での喫煙が問題視される昨今の状況で、工事監理者は責任を問われるのではないかと思います。加えて、喫煙所は往々にして人と人の距離が近く、感染症対策の点から見ても、喫煙場所指定者の責任を明らかにしておく必要があると思われます。

つきましては、工事関係者の喫煙場所について、誰の責任でどこを指定しているかご教示下さい。工事監理者である札幌市はこの点を把握していると考えられるため、「北大へお問い合わせを」という回答はご遠慮下さい。

以上、大まかに(1)(2)札幌市は北大構成員への説明・意見聴取を行う意志があるか否か、(3)(4)工事にかかる「環境評価・使用資金・実施の判断」以外の点での責任の所在、特に感染が生じた場合および喫煙場所指定についての責任をどのように考えるか、を確認しています。

繰り返しになり、また質問を追加してしまい恐縮ですが、ご回答および札幌市長への転送よろしくお願い致します。

北海道大学 経営倫理研究会 有志一同

札幌市の再々々回答

上記の返信に対し、5月28日に回答がありました(こちら)。

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