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日常に潜む錯覚、世界を動かす錯覚

 知り合いから「今週金曜日に飲みに行きません?」というお誘いを受けた。

二つ返事で快諾したのだが、よく考えたら、受けた時点で水曜日だったので、「時すでに2日後」と迫った段階だった。

うお、意外と近い、と思った。

言葉は面白い。その日を起点として「あさって」と言われるよりも「今週○曜日」と言われる方がなんとなく日数に余裕を感じるが、実は尺としては一緒なのだ。

同一の数値でも、ニュアンスを変えて話すだけで響き方、伝わり方がまったく変わってくる。一種の「錯覚」である。

TVショッピングなどで見られる「今ならもう一点同じものをプレゼント!」とか、「1日わずか100円で健康に!」みたいな宣伝文句も、実際は "半額であることの別の言い回し" だったり、単に "分割で値段を伝えているだけ" なのに、一気にお得になったような気になり、ついつい購入に至ってしまうケースも多い。

世の中はこうした「数字のトリック」がたくさん溢れているな、と改めて感じる。

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 他にも、近い数字を使った錯覚として、「¥5,000」と表示されたものよりも、「¥4,980」と表示されたものの方がお得に感じる。あと、テストで「78点」を取るよりも「80点」に達した方が、成績の見栄えも違う、などがある。

特に僕の少年時代は、この "繰り上げ(下げ)の錯覚" に幾度となく救われた。

当時はファミコンが主流だったのだが、各メーカーがソフトの値段に対してまさに「¥4,980」という手法を使っており、中でもナムコのソフト群は特に安く、「¥3,980」のものが多かった。「3千円台」という響きは、親に対する一定の説得材料になった。

実際はほぼ4千円を親に出してもらっていたのだが、きっと当時は親も何となく得した気分で買ってくれていたのかも知れない。現に、僕自身大人になってからもこの魔術にまんまと引っかかり、気づけば娘や自分の物を購入する際の指標についついしてしまっている。

身近な局面ですらこうなのだから、もっと広い世界に目をやると、政治、経済、国際社会、僕らと一見距離のありそうな様々なシーンなど、特にこうした錯覚のトリックは頻繁に使われているんだろうと思う。

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 人間は複雑なようでわりと単純なのが面白い。そしてそれは同時に恐ろしくもある。意識をしない限り、錯覚と思い込みからはそうそう逃れられない。

その錯覚を意図的に利用し、国民レベルで大衆扇動を謀る人たちもきっといる。極端な表現で言うと、洗脳も可能だったりする。

先日読んだ『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』をもう一度引っ張り出して、あらゆる数字の「見え方」に対してもう一度メスを入れ直してみようと思った。

 飲み会の約束の話からつらつら書いていたら、規模のでかい話になってしまった。

今日はこんなところで。

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