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スウェーデンの新語2019は環境がキーワード

1986年以来毎年、Institutet för språk och folkminnen(言語および民間伝承機関)がその年に生まれた新語を選定し、発表しています。昨年2019年には、35の新語が追加されました。

2019年といえば、スウェーデンの中学生環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの活動が世界中で注目された年。新語にも環境関連のものが目立ちました。

グレタ本

『グレタ たったひとりのストライキ』(羽根由 訳、海と月社)

Gretaeffekten(グレタ・エフェクト):グレタさんにインスピレーションを受け、世界中で環境問題への関心が高まった効果を指しています。

Grönt körfält(グリーン車線):化石燃料以外を使って走る車両専用の車線。スウェーデンの交通局は、電気自動車をはじめとした化石燃料以外の車と自動運転車だけが走ってもいい車線のテスト導入を検討しているそうです。

Klimatnödläge(気候非常事態):気候変動に緊急処置が求められる状態。世界中で百ほどの都市が「気候非常宣言」を行っています。

Klimatstrejk(環境ストライキ):グレタさんが世界中に広めた、環境問題に取り組む必要性を訴えるストライキ。

Smygflyga(こっそりフライト):飛行機は環境に負担をかけるということで、アメリカでのサミットに飛行機ではなくヨットで向かったグレタさん。それまで気軽に飛行機を使いまくってきた大人たちはすっかり恥じ入り、Flygskam(フライトシェイム)という言葉が生まれました。その陰で、こっそり飛行機に乗って移動する Smygflyga という新語も発生。

Tågskryta(列車自慢):飛行機に乗るのは恥ということで、夏休みには列車でヨーロッパを周遊するという、いささか古風な旅行が人気になりました。列車で旅行しているところをソーシャルメディアにアップするのがステータスになったのです。また、遠くに行くよりも国内旅行をする人が増え、Hem(家)+ Semester(バカンス)で Hemestra をするという表現も生まれました。

Växtbaserat kött(植物由来肉):見た目も味も肉に似た植物由来の食品。最近はチェーン系のハンバーガーショップでも、普通のビーフパテだけでなく、植物由来肉のパテを見かけるようになりました。

こうやって並べてみると、去年がいかにグレタ・イヤーだったかよくわかりますよね。世界中に影響を与え続けるグレタさん、引き続き応援しています。


2019年のリストには、なんと2単語も日本語由来のものがありました!

animoji (アニ文字):そのまんまですが、“人の顔をベースに作られた絵文字”と定義されています。

Ikigai(生きがい):ちょっと訳すのが難しいですが、“自分の存在に意義があると感じている状態。情熱、自分が得意なこと、世界が必要としていること、それをすることで何を得られるかといった側面”という説明です。

英語から訳されたものかもしれませんが、Ikigai 関係の本も書店で見かけました。Karoushi(過労死)という日本語が世界で普及してしまった今、Ikigai(生きがい)のほうも浸透するといいですね。


出典:
https://www.isof.se/download/18.2e489e9216f1a8cad2ac0ba4/1577424338836/Nyordslista-2019.pdf

(文責:久山葉子

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