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北欧の本屋巡り1.スウェーデン

海外へ行く前に、何よりまず、行先の街の本屋を調べるくらいの本屋好きです。スウェーデンの本は日本からでも Bokus というネット書店で買えて、届くのに1か月もかかりません。スウェーデンでは、同じ本でも書店によって値段が異なり、一般に実書店よりネット書店の方が安いようです。それでも実店舗で、本を手に取って見る楽しみは格別です。

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ヨーテボリのAdlibrisに山積みされたミステリーのペーパーバック (2018)

これ、積んであるの全部「北欧ミステリー」の新刊です!  壮観です。原書はこういう表紙なのか、なんて見ているだけで楽しい…。

この店 Adlibris はもともとネット専門で、ネットの品揃えは Bokus より多いのですが日本へは配送してくれません。そんな Adlibris がストックホルムとヨーテボリに実店舗を出し、ネット価格で売るようになりました。

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 ヨーテボリの Adlibris のカフェ

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これは2018年夏のヨーテボリの Adlibris の売れ行きトップ4です。3番目、4番目は2019年に邦訳が『世界にバカは4人いる』(中野信子監修、オーグレン英里子訳)、『1793』(ヘレンハルメ美穂訳)(歴史ミステリーです)として出版されました。

あるとき、ぜひとも欲しい本があったのですが、ウェブでは、Bokus には載っていなくて Adlibris に載っていたことがありました。ちょうどスウェーデン行きを計画していたので、メールでお願いして実店舗に取り寄せてもらいました。それを思いついたのは出発1週間前でしたが間に合いました!これは便利。メールでやりとりした店員さんにも会えました。ストックホルムの Adlibris でした。

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ストックホルムの Adlibris(2016)。
大きな木のテーブルがあって、本を見たり fika したりできます。

2016年当時、Adlibris は実書店最大手のアカデミー書店 Akademibokhandeln の向かいに店を構えていました。Adlibris は新刊に絞ってネットと同じ価格で並べて、アカデミー書店は高いけれど新刊に限らない品揃えで、うまく共存しているように見えました。(その後 Adlibris はここから歩いて4分ほどの場所に移動したそうです。)

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向かいのアカデミー書店 (2016)、
ストックホルム、Mäster Samuel 通り。


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並んだミステリーの表紙がきれい。ルンドのアカデミー書店 (2013)


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リンドグレンの『名探偵カッレ君』とスウェーデン料理の本


ストックホルムにある古本の店 Alpha antikvariat の中は何時間でも過ごせそうな空間です。入り口は小さいけれど奥に迷路のように広がる大きい店です。20世紀前半に刊行された古い本もたくさんあります。(2012, 2016撮影)

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古いガイドブックを探している、スウェーデン人の名前についての本がほしい、などと言うと店員さんが迷路の中をささっと案内してくれます。ここでストックホルム、ウプサラ、シグトゥーナの古いガイドブックを入手しました。

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左の写真に写っているストックホルムの本はそれぞれ1946年、1953年刊行です。古いガイドブックの魅力は、挿絵です(まだカラー写真が安価に載せられなかった時代)。そして、挿絵にある古い建物の多くが現在もそのまま見られます。右は、そのうちの1冊『ストックホルムの本』(Boken om Stockholm)という子供向けのガイドブックの1ページですが、旧市街の広場を囲む古い建物の表面にたくさんついている ankarjärn の紹介をしています。建物の強度を高めるための大きな釘のようなもので、釘の頭にあたる部分は建築の年代によって異なる形をしていて装飾になっています(Wikipedia)。建物の所有者の頭文字、建築の年を表す数字をかたどったものもあるそうです。広場を囲む建物のいろいろな ankarjärn を見比べるだけでも楽しめます。

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Ankarjärn

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  本の挿絵にある建物2つ。

ちなみに、『ストックホルムの本』には著者(Elvi Rydefält)のサインらしいものがありました。これも古本の楽しみですね。

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最後にストックホルムのセーデルマルム島にある、いかにも昔ながらの本屋さんという感じのセーデル書店で締めたいと思います。カウンターには年配の店主がどっしり座っていました。(2012年撮影)

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(文責 服部久美子

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