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嵯峨野ぐらし29 京都のちょっとディープでレトロな銭湯めぐり

 昨夜、嵐電に乗って帰宅の途上、窓ガラスに映った自分の姿を見ると・・・・・・  あかん! カッターシャツのボタンが一個ズレてる!!
目の前に座っている女子高生やおねえさんやマダムたちに、
「おぢさんは風俗に行った帰りぢゃないんだよ~ ネクタイを締めてバイトに行った帰りにスポーツジムに寄って、お風呂に入って、ネクタイを締めたらズレていることに気が付くはずなのに、締めずに帰ったばかりに今まで気付かなかっただけなんだよ~」と心の中で叫びながら、ボタンを一つづつ外して直しました。しかも、バイトで重量物をいくつも持ち運びしたので腕が内出血してアザのようになってる。これではSM倶楽部で女王様にいたぶられてボロボロになりながらも満足感に浸っているおっさんじゃないか。「おぢさんはMの性癖はないんだよ~ どちらかといえば痛いとかキツいのは嫌いで、共に快楽を追求するのが好きなソフトなSなんだよ~」と、誰も聞きたくもないことを叫びたくなりました。もちろん叫びませんけど。

 それはさておき、私はこのように自宅の風呂には入らず、スポーツジムでお風呂に入る生活をしています。もともと風呂なし家庭で育ったことに加え、身体が大きいので一般家庭サイズの風呂では身体が十分に温まらないことに耐えられない私は大きなお風呂がないと生きていけない体質なので、今住んでいるウチも「銭湯から徒歩30秒」という高条件ゆえに選んだぐらいです。
しかし、近年京都市の銭湯は老朽化により、えらい勢いで廃業しており、私が今のウチに引っ越して1年も経たないうちに、「徒歩30秒」の銭湯も創業90年で廃業してしまいました。結局、それ以後、私はトレーニングやレッスンをしない日もジムへ通い、ジムでお風呂に入る生活をしています。京都市の銭湯の入浴料金は大人450円なので、ひと月30日入浴すると13,500円! これならジムの月会費のほうが安い! ということで、ジムのお風呂にはとトレーニングとは無縁で風呂に入りたいだけの「近所のおじいさん」もけっこう来ています。しかも10月から銭湯が490円に値上げするので、ますますジムがお得になります。
 余談ですが、私が通うジムには「学割」があり、学生だと月会費が3割以上安いのですが、これまで「ただし26歳まで」という、私にイケズをしているとしか思えない一文があり、私は対象外でした。しかしこの記事を書くために久しぶりにジムのHPを見たら、何の予告もなしにこの一文が消えてました。おおっ、57歳の学生でも割引対象になったのか? 早速今夜聞いてみよう!

 さて、そんなジムのお風呂ですが、年に1~2回メンテナンスのために1週間ぐらい休業するときがあります。そんなときは銭湯に行かざるを得ないのですが、先日はこの「銭湯週間」を利用して、バイト帰りに京都のちょっとディープな銭湯を巡ってきましたので、簡単に紹介します。気になった方は是非とも足を運んで、お湯につかって、自分の目で確かめてみましょう。

東山湯(左京区百万遍)

 1軒目 東山湯
左京区の百万遍交差点の近く、マクドの向いにあります。すなわち京都大学の近くということで、京大の学生も多く利用するのか、鏡広告に「京都大学銭湯サークル」とか「京都大学写真部」なんていうのもありました。
でも東山湯と言えば、大将が元ミュージシャンでビートルズ愛に溢れている! ことで知られています。

おなじみの暖簾
暖簾をくぐると・・・

脱衣所のBGMはビートルズ。ほかにもジュリー(沢田研二)マリリンモンローなどのポスターがズラリ。京都でいちばん音楽愛に満ちあふれた銭湯でした。

軍人湯

 2軒め 軍人湯
 伏見区の京阪電車藤森駅の近くにあります。ぱっと見は写真のように普通の銭湯なのですが、屋号が・・・・・・

軍人湯の看板

「軍人」「湯」はどうもマッチしないよな・・・・・・
実はこの近くには、その昔「第16師団本部司令部」があり、この界隈は「京都の軍都」と呼ばれる軍人の街でした。京都市内からこの界隈へ続く道路は今でも「師団街道」と呼ばれてますよね。なのでこの銭湯は開業当時、まさに「軍人のための銭湯」だったそうです。ちなみに「第16師団本部司令部」の建物は今も残っていて聖母女学院本館として使われています。今でも素敵ですよね。

聖母女学院本館

 3軒め 七条大黒湯
 大黒湯という銭湯は五条修学院にもありますが、ここでは七条の大黒湯を紹介します。七条通の鴨川から東へ100メートルぐらい行ったところにあります。三十三間堂国立博物館などの観光地や京都女子大学にも近いので、観光客や修学旅行生や女子学生で賑わう七条通に面しているのですが、木戸が閉まっているときは、そこに銭湯があるとは気が付きません。夕方になって木戸が開いて暖簾がかかると、ようやく下写真のように銭湯とわかるぐらいです。

七条大黒湯

おやっ、暖簾の奥に何かありますね。

空豆地蔵


空豆地蔵と呼ばれるお地蔵さんです。立派な祠にお花もお供えされてますね。お地蔵さんのある銭湯は初めて見ました。

 4軒め 西院旭湯
 旭湯という銭湯もこれまた五条九条にもあるのですが、ここでは右京区西院の旭湯を紹介します。阪急電車の西院駅から西大路通を北へ歩くか、嵐電の西大路三条駅から西大路通を南へ歩いたところにあります。
が、西大路通に面しているのは・・・・・・

西院旭湯を西大路通から見る

写真のように壁に書かれた「ゆ」の文字と、廃材をくべてお湯をわかしている釜だけで入口がありません。建物の横に行ってみると・・・・・・

旭湯の入口はどこ?

こんな看板が。燃料の廃材を積んである狭いところを入っていくと・・・・・・

西院旭湯の入口

西大路通の一本東側にある細道に面したところに入口がありました!
大正14年にこの銭湯が開業した当時は、入口が住宅街のほうを向いており、店の裏側(釜があるほう)は畑が広がっていたそうですが、市電を走らせるために西大路通が拡幅されると、今のように、店の裏側が大通りに面している状態になってしまったようです。その市電がとうに廃止された今も、その当時のままの建物だとは、歴史を感じられるエピソードですね。
 日本のハリウッドこと太秦と同じ右京区にある西院旭湯の近所には映画配給会社の稽古場があるらしく、この銭湯にはときどき俳優さんが汗を流しにくるようです。男湯にはけっこう有名どころの俳優さんのサインがズラリ。映画宣伝のサイン入りポスターなんかも貼ってあります。女湯にも有名女優さんのサインがズラリなのかどうか、私はとても興味があります。どなたか教えてもらえると嬉しいです。
 お楽しみいただけたでしょうか? 京都にはほかにもディープでレトロな銭湯がたくさんあります。観光でお越しの折に銭湯めぐりもオススメですよ。ではまた。


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