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【50代の大学生日記 第29話】こんな暑い日は柳陰で乾杯

 毎日暑いですね。こんな時季もバイトで肉体労働をしているうちに、今年の正月比で8キロも痩せてしまいました。でも今日はバイトが休みで、クーラーの効いた部屋にこもって小説を書いて、昼飯にドラゴン炒飯定食(@ドラゴン飯店四条烏丸店)を食べ・・・

ドラゴン炒飯定食

たっぷり昼寝をしていたら、1日で2キロ増量しました。痩せるのは大変だけど太るのは簡単。
 そんな今日この頃、肉体労働を終えて風呂に入って、くつろぐときに私はよく冷えた「柳陰(やなぎかげ)」をいただいてます。柳陰って何? 普通の飲食店ではまず提供されないし、知名度が低い飲み物ですが、夏の暑い日にはおすすめの飲み物なんです。私が「柳陰」を知ったのは、上方落語の「青菜」です。さる大家の旦那が、夏の暑い日の夕方に晩酌をするのに一人で飲むのは寂しいので、庭でその日の仕事を終えた植木屋さんを誘うシーンで、植木屋さんに井戸でよく冷やした「柳陰」を勧めます。「柳陰」とは、本みりんに焼酎を加えた冷用酒の関西での呼び方で、東京では「本直し」と呼ばれているようです。一般的にロックで飲むことが多いようですが、私は水割りソーダ割りでいただいています。
 ただし、「本みりん」というのは、普通のみりんではありません。本みりんとは、もち米と麹と焼酎を原料として糖化、発酵させたものでアルコール度数が14度程度あり、酒税法ではお酒の一種として扱われるため、酒税が課税され値段が高いですし、20歳未満の者には売ってはいけないことになっています。
 ちなみに、本みりんを作るときにできる搾りかすは全国的に「こぼれ梅」と呼ばれています。これも上方落語の「鷺とり」に登場し、冬の寒い朝に庭に水とこぼれ梅を撒いておき、こぼれ梅の香りに集まってきた雀がこれをつついているうちに足元の水が凍ってしまい、鎌一本で雀を全部生け捕りにできるという計画をアホが披露する場面で登場します。私は個人的にこぼれ梅が好きですが、いかんせん、これも現代では知名度が低く・・・・・・ 以前中山寺でこぼれ梅を売っているのを見つけて喜んで買ったら、店のおばちゃんに「あんた落語が好きなんか?」と聞かれたことがあります。

角屋文治郎商店 三河本みりん

 ちなみに、一般に市販されている「みりん」(≠本みりん)は「みりん風調味料」という扱いで、旨味調味料や水あめを使って本みりんに似せた味を再現しているもので、アルコールを含有しない偽物、「料理酒」と呼ばれるものはアルコールを含んでいるものの大量に塩を加えることによって酒として飲めないように(不可飲処理)して酒税の対象でなくしているもので、どちらも「本みりん」とは全く違うものです。「本みりん」には糖類(グルコース、オリゴ糖ほか)のほかにアミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸ほか)や有機酸(乳酸、クエン酸ほか)も含まれており、暑さで身体が疲れているときに飲むと疲労回復も期待できるようです。
 「柳陰」はそんな「本みりん」1に対して焼酎を2加えたもので、アルコール度数でいうと、20度を超える強いお酒です。
私は本みりんの原料である米に敬意を表して、米焼酎を混ぜています。

本格米焼酎「白岳」
柳陰の原液

こんな暑い日は、皆さんもよく冷えた「柳陰」で疲労回復されてはいかがでしょうか。

 では、最後にそんな京都の夏には欠かせない、「わらび餅」(もちろんわらび粉たっぷり配合の黒っぽいわらび餅)を食べながらお別れしましょう。ごきげんよう。

みつやのわらび餅


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