のらいぬ放浪記6.今年訪れた展覧会いろいろ
東北旅行以降、泊まりの遠出はあまりしなかったものの、日帰りで色々な展覧会を訪れました。
今年もほぼ終わりなので、備忘録がてら今年観に行った展覧会・博物館をあげてみたいと思います。
1.石造物群と歴史館(箱根)
1月の新婚旅行で行ったもの。
元箱根の中世石造物群のガイダンス施設で、なんと今年の9月で閉館してしまったらしい。行っておいて良かった…
良いものはたくさん見られたけど、残雪もあり、バスは来ないし、とにかく寒かった思い出。
2.ガラスの森美術館(箱根)
これも新婚旅行で、珍しく連れからのリクエスト。
普段ガラス工芸はあまり観ないけど、制作方法についての展示はかなり面白いかった。
ちなみに、レースグラスは戦国時代の八王子城からも見つかっている。
3.拓くひとびと-狭山の奈良・平安-(狭山市立博物館)
狭山市博は初訪問。
墨書須恵器をびっちり並べた展示ケースが手作りで驚いた。これは応用できそう。
常設展があまりゆっくり見られなかったのでまた行きたいですね。
4.小石川植物園(文京区)
確かまだ「らんまん」が始まる前だったので空いていた。冬だったからかな。
5.埼玉の遺跡 東松山市反町遺跡(埼玉県立さきたま史跡の博物館)
玉作の工房が発見された遺跡。
手工業生産の研究をやっている人間としては見に行かざるをえない(時代も素材も違うけど…)。
ひとつの建物内で、遺物の種類ごとに範囲をおさえたていねいな調査。こういう調査を目指したい。
6.指輪展(国立西洋美術館)
橋本コレクション自体は去年?の宝石展(科博)で出てたものの、混雑が凄すぎて全然ゆっくり見られなかったので、再チャレンジ。
これタダ(常設展観覧券のみ)で観て良いんですか?という充実っぷり。
7.クリスタル・ロード(山梨県立考古博物館)
縄文時代以来、歴史的な水晶産地であった山梨県ならではの展示。
上で紹介した反町遺跡の水晶も山梨県産とのこと。近年は黒曜石と同様、水晶も原産地推定ができるようになってきた。
8.大津市歴史博物館(大津市)
研究会の前に時間があったので寄った。
大津絵が好きなので、絵画や郷土玩具の展示がかなりツボ。
ミニチュア炊飯具ばかり集めた狂気の図録を買った。この企画を通す担当学芸員の方、かなり根性が据わっているのでは。
9.京都市考古資料館(上京区)
ここはいつ来ても、良い陶磁器が好きなだけ見られる…良い……しかも混んでない。タダだし。
10.ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画(太田記念美術館)
ポスターのビジュアルに惹かれて観に行った。
実物は結構大きくて、大写しで見ると、こう…なんというか…意外と色合いとか目元の表現が「バタ臭い」。
ガチ図録(作品集)と簡易版図録(リーフレット)があり、ガチなほうが欲しかったけどかなり高かったので断念。
11.ソール・ライターの原点(渋谷ヒカリエ)
これまではBunkamuraミュージアムでやっていた展示シリーズの第3段。
今年は休館中なので、ヒカリエが会場でした。
当時の鑑賞法(スライドに写して見る)を体験できる手法が面白かった。
大きい画面で見るのと、小さいフィルムで見るのとではかなり印象が違う。
12.二子山古墳と祈りの器(埼玉県立さきたま史跡の博物館)
またしてもさきたま。完全なるお勉強。
規格や製作技法から2種類に分けられる、大量の高坏が出土しているとのことで、それぞれ見比べる。
入り混じっての出土なのかが気になるところ。
13.日本のタイル100年 美と用のあゆみ(江戸東京たてもの園)
INAXライブミュージアムとかでやっていて、どうしても観に行けなかったものが巡回してきてくれたので大喜びで観に行きました。
輸出用の和製マジョリカタイルが面白い。
本家からのまるパクリあり、インド向けのユニーク作あり、カラバリありで、コレクションなんてし始めたら相当沼なのでは。
14.古代メキシコ展(東京国立博物館)
1年ぶりくらいのトーハクでしたが、混みすぎていて正直疲れてしまった。
グアテマラの翡翠がまとめて見られたのは、石マニアとしてはかなり良かった。
この青い顔料は「マヤブルー」というらしく、インディゴ染料を粘土に混ぜて顔料にしたものらしい。知らなかった色材。
15.入間市博物館(入間市)
↓この記事で紹介しましたのでご覧ください!
16.杉浦非水の大切なもの(川越市立美術館)
杉浦非水は何年か前に東京国立近代美術館で観てかなり好きだと感じたので、もう一度観たいと思い。
三越の表紙を何年も手掛けていながら、ちっともマンネリ化しない(しかしひと目見て非水のデザインと分かる)のは本当に才能と努力の素晴らしさを感じる。
17.穴のあいた土器(春日部市郷土資料館)
方形周溝墓に供献された底部穿孔土器をテーマにした展示。マニアック。
焼成前穿孔のものと、焼成後穿孔のものが入り交じるのはなぜだろう。
土器の調達先が複数あって、最終的には現地合わせなのかもしれない。
18.東北歴史博物館(多賀城市)
仙台旅行のついで、多賀城跡とともにに立ち寄りました。
特別展は群馬・埼玉から借りて来ているものが多かった様子。
常設展は考古・民俗ともに充実していて、さすが東北の旗艦館。考古はレプリカが多い。
19.牛王山遺跡展(和光市)
弥生後期の環濠集落・午王山遺跡の国指定記念展。
市外から借りて来ている土器も結構多く、大変勉強になりました。
それにしても同業者ばっかり!
20.銅鐸をつくる(茨木市立文化財資料館)
1年に2回も関西行くとは…
東奈良遺跡の銅鐸鋳型と、銅鐸の制作過程に徹底的にクローズした展示。
学芸員さんのライフワークとも言うべき研究成果が、存分に仕事に活かされているのがすごい。
21.富士川水運歴史館(富士川町)
↓こちらの記事で紹介しました!
22.発見された日本列島展2023(山梨県立考古博物館)
今年は山梨or対馬の二択という鬼条件!
駆け込みで山梨へ。しかし、観たことある遺物も多かったな…
ただ、この猿投窯の古代末期の瓦塔は面白かった!
銘文もあるし、研究してる人にとってはかなり質の良い資料になるんでないかな。
23.酒と宴(川越市立博物館)
完全に民俗系の展示と思い込んでいたら、カワラケが結構出てると聞いて急いで観に行きました。
新河岸川舟運やサツマイモ生産との関わりもあり、これは確かにこの館でやる意味のある展示だと思いました。
24.縄文コードをひもとく(埼玉県立歴史と民俗の博物館)
縄文原体=cord(ひも)と、土器がもつ社会的意味=code(規則)、ふたつのコードから土器を読み解くという意図の展示。
意図や出てるモノはすごく良いし勉強になるけど、素人さんにはちょっとキャプションが難しすぎるんでかないかな、と感じるなど。
25.古墳時代の祈りのカタチ(藤岡歴史館)
トーハクが持っている白石稲荷山古墳出土・石製模造品の里帰り展。
滑石も産地分析の手法が確立されれば、石材や製品の流通がもっと見えてくるので面白いだろうな、と思ったり。
26.剣崎長瀞西遺跡を考える(高崎市観音塚考古資料館)
渡来人の足跡が色濃く残された、剣崎長瀞西遺跡に焦点を当てた展示。
「今ある図面・データぜんぶ出します!!」みたいな内容モリモリ展示でした。
群馬は関東の中でも珍しく、だいたいの古墳に葺石が伴うエリアなので、写真で見るかぎり積みがかなりパターン化されているように見えた。
27.北宋書画精華(根津美術館)
SNSでかなり評判が良かったので駆け込みで。
仁和寺の孔雀明王が観られたので大満足!
過去に観に行けなかった高麗仏画の図録も買えました。
28.異国襲来(鎌倉歴史文化交流館)
鷹島沖の海揚がり遺物が出ると聞いて、開幕すぐに飛んで行ったらお目当ては1/19からでした…
もっとチラシにデカデカと書いといて!!
それでも面白いものは色々あって、特にこの鉄製籠手はとても状態が良くて、製作技法をあれこれ考えながら楽しく観られた。
あまりにも数が多すぎて、途中で「全部紹介するのやめようかな…」と面倒くさくなりましたが、(備忘録なので)とりあえず出してみました。
今年は工芸系や近代絵画(油画)が少なかったかな。考古系はまぁ、半分お仕事なので…
来年は都美で田中一村をやるそうなので楽しみ!
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