ワクチン接種の義務化は効果があるのか?【アメリカのコロナ事情Vol.13】
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ワクチン接種の義務化は効果があるのか?【アメリカのコロナ事情Vol.13】

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義務化推進州と、反対州の比較

まずはじめに、このコラムでは”ワクチンの効果”ではなく、”ワクチン接種義務化”の効果について検証します。

ワクチン接種の義務化について、推進州と、反対州としてメディアでよく取り上げられる次の4州を比較します。この4州を比較することにどんな意味があるのか?と思わなくもないのですが、これがバイデン政権、CDC、ファウチ博士、そして、メディアの手法ですので、彼らに反論してみたいと思います。

■義務化推進州:ニューヨーク、カリフォルニア

■義務化反対州:テキサス、フロリダ

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*縦軸の数字を100万人あたりの感染者数に補正していませんので、グラフの波の高さが感染者数の多さを表すわけではありません。

ワクチン接種義務化について、連邦政府VS各州、各州VS組織(企業、学校、医療機関等)学校VS保護者等、数えきれない裁判が行われたり、教育委員会でバトルが行われたり、そこにバイデン政権とFBIが出てきたり・・・。と、全米各地で対立が深まるワクチン接種義務化。

そんな中、ファウチ博士は3回の接種を、ワクチンの標準接種にしようとしています。グラフを見ていただくと分かる通り、義務化推進州、反対州ともに感染者数は落ち着いてきています。

5月24日以降に、どの州も大きな波がやってきます。これは以前に検証した通り、感染爆増の原因は、単純に変異株ではありません。感染爆増の一番大きな要因は、5月11日にファウチ博士とCDCが変異株によるブレイクスルー感染の可能性があることを知りながら、ワクチン接種者に誤った情報(ワクチン接種しさえすれば、マスクもソーシャルディスタンシングも不要)を伝えたことだと、個人的には考えています。

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関連コラム:【米国コロナ】7月10日以降の感染爆増要因を探る

【アメリカのコロナ事情Vol.4】デルタ株がアメリカで感染爆発を起こした原因

ワクチン接種率比較

ファウチ博士がいろいろ言っていますが、ワクチン接種完了が今のところ、2回ですので、完了した人の率(221年11月18日現在)は下記の通りです。

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義務化推進のカリフォルニアとフロリダとでは、ワクチン接種率は1.7%しか違いません。極論を言ってしまえば、この1.7%の接種率のために、職を失ったり、日常生活を制限される人を出す政策を行う必要があるのでしょうか?ニューヨークでは警察や教職員等の人数が足りない状態になっていると聞きます。

一方、ニューヨークとテキサスでは、13.7%の違いがありますが、今度は新規感染者数の推移を見てください。

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テキサスの方が人口が多いですので、感染者数は圧倒的に多いですが、グラフの動きを見ると、収まっていっている様子が見られます。テキサス州でワクチン完了者率が50%を超えたのは、9月18日です。ここから11月16日に至るまで、4.1%しか増えていないのにもかかわらず、激減しています。

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そもそも3月にマスク着用義務化を解除したときに、テキサス州の感染者数は増えませんでした。ここでバイデン政権やファウチ博士のテキサス州に対する批判に騙されないでください。マスク着用の義務化が解除されただけで、着用を禁止されたわけではありません。

マスク着用義務化の解除とは、個々人が自分で判断して必要ならば、マスクを着用するというものです。実際、当時のテキサス州では、場所にもよるかと思いますが、私の周辺ではほとんどの人がマスクを着用したままでした。

■関連記事:”マスク義務化”解除後のテキサス 

ワクチン接種義務化の禁止についても同じです。ワクチン接種を禁止しているわけではなく、義務化を禁止しているに過ぎません。マスク着用と同じで、各自が判断し、必要だと思えば接種する・・・それで良いのではないかと思います。何しろ、治験中のワクチンです。効果も安全性も、現在、リサーチ中である状態であるにもかかわらず、強制させるべきではないと思います

みんながワクチンを打てば、経済が回復できる・・・・というのは、何の根拠もない本当っぽく聞こえる嘘です。繰り返しになりますが、CDCのワレンスキー博士は、「ワクチンでは感染拡大を防げない(ワクチンは重症化を防ぐために重要)」と認めているのです。

大企業を対象としたワクチン義務化の公聴会でも、医師が「獲得免疫を無視して一律接種を迫るのはおかしい」という発言をしています。

バイデン政権の次なる一手

ファウチ博士が「3回目の接種が必要」とまた言い出したのは、大企業の従業員を対象としたワクチン義務化で、反対派に勝てそうにない予測があるからではないでしょうか。

バイデン政権は11月23日、第6巡回区連邦控訴裁判所に、すべての大企業が労働者にコロナウイルスのワクチン接種を受けるか、1月から毎週の検査を受けることを義務付ける連邦命令を進めるよう要請しました。11月23日付ニューヨークタイムズによると、申立書の中での司法省の反論は下記の通り。

「新型コロナがウイルスによって引き起こされ、そのウイルスが職場の外にも存在するという理由で、OSHAが職場での新型コロナの重大な危険に対処する法的な権限を欠いているということでした。その論理的根拠は、法定文書には根拠があるとはいえません」。

第5巡回連邦裁判所の義務化一時停止命令には、いくつもの理由が挙げられていましたが、上記の反論に関連させたものを挙げるのであれば、”OSHAとして義務化するタイミングがおかしい(感染が拡大した早期の時期、もしくはワクチンがEUA獲得した直後に設けるべきだった)””労働条件問わずに一律で同じ義務化を設けることがおかしい(夜勤一人勤務も、工場等、密な職場環境も同等の扱い)”等があげられます。

OSHAというのは、もともと仕事を通じて、健康被害や死亡に至るような要因を除外し、従業員の健康を守るというものでした。法律が成立した通りの法解釈をするのが保守派であり、可能な限りの拡大解釈を行うのがリベラル派と言われています。

とすると、私はきっと保守派なんだと思います。司法省の言っている意味がよくわからないからです。上記の義務化の必要性が成り立つなら、例えば肥満問題でも企業の責任が問えます。(毎日・定期的・不定期に)フリーランチを提供する企業は、従業員の肥満問題の責任を取ってくれる、もしくは健康的なランチを提供するのでしょうか?意外かもしれませんが、フリーランチは、アメリカで企業が良い従業員を獲得するための重要なベネフィットの1つとなっているようです。優良企業ほど、導入していると言っても過言ではないかと思います。コーラーや揚げ物は、ランチのメニューから取り除くか、数量制限を設けることになりそうですが、そうすると、それは”もはやベネフィットではない”と考える層もあるでしょう。

OSHAとして、新型コロナ関連で義務化を設ける必要性があるのだとすれば、疑いのある症状の人に対しての休暇の問題(有給・無給・病欠)や、職場の換気、自宅勤務可能な環境づくり、(可能な限り)密な環境を避ける取り組み等だと思います。これは、おそらくパンデミック当初に、ここの企業がすでに取り組み済みであるはずのものです。企業がワクチン接種を従業員に強制することは、これらの取り組みとは、意味合いが全く異なります。仮に企業が強制したワクチン によって、ひどい副反応が出たり、亡くなる方が出た場合には、責任は誰がとるのでしょうか?

義務化政策は意味をなすか?

現在は、感染者数減の局面にあります。現在のワクチン未接種者というのは、7月以降、あれだけの感染者爆増を経験したときにも、ワクチンを打たなかった層ということは留意すべきです。バイデン政権とファウチ博士、CDCには、絵本『北風と太陽』の話を読んだ方が良さそうです。バイデン政権の支持率は、過去の大統領支持率と比べても最悪なものになっています。

”(Fワード)Joe Biden”や、その隠語的なフレーズとなった”Let's go Brandon”は、サンクスギビング休暇中に行われた国民的スポーツ、アメリカンフットボールの試合でも、そのコールが響いたそうです。

大統領選中から囁かれていたリベラル派の戦略ーーバイデンが大統領になった後で、健康上の問題を理由にカマラ・ハリスに変えるーーをそろそろ実行しなければ、中間選挙がヤバイという声が上がる一方、ハリスの能力のなさは、前評判以上だったようで、こちらは、リベラルの内部からの批判も大きいようです。

政権の信用がガタ落ちになっている状態で、アメリカ人が最も懸念する”義務化”という強制力を行使することで、現政権がどの方向を向いているのか(共産化)、暴露しただけにすぎないように思います。これまで接種しなかった層は、より頑なに拒否するだけでしょう。

ワクチンの義務化に行き詰まり感のあるバイデン政権。たまたまなのでしょうが、彼らに取ってある意味”朗報”と言えるのが、オミクロン株の出現です。この件についても、ちょっと「ん?」と思うことがあります。こちらは、別立てのコラムでシェアさせていただきます。

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ありがとうございます!気になるアメリカ情報等、教えて頂けると幸いです。
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中国、アメリカ、日本での就業経験を持つ。日本でビジネスに携わる人にとって(もしかすると、生活する全ての人にとって)、米中で起こっていることを正しく知ることは、自らの戦略を立てていく上で不可欠なこと。専門外の人にも理解していただけるような情報のシェアを心がけます。