「漫画がバズっても、漫画家にはなれない。」

漫画家のかっぴーです。少年ジャンプ+「左ききのエレン」、週刊スピリッツ「15分の少女たち-アイドルのつくりかた-」原作やっています。

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最近noteもYouTubeも更新頻度が低くなってしまったんですが、週に一度くらいのペースで「よくある質問に丁寧に答える」というのを書こうと思います。

記念すべき最初の「よくある質問」です。

Q.どうして漫画家になれたのか?


脱サラして漫画家になってから丸6年くらい経ちますが、私はこう聞かれるたびに「漫画がバズったから」と簡単に答えていました。でも、最近になって思う事があります。

「漫画がバズっても、漫画家にはなれない。」

ここ数年で「SNSで話題になって一躍脚光を浴びる」的な展開は、それこそ漫画やドラマでもベタな展開として描かれるようになりましたが、実際にはそう上手くはいきません。私は「漫画がバズったから、漫画家になれた」と適当な嘘を吹聴していたつもりは無いのですが、正確には「漫画がバズったから、機会が与えられた」が正しいと思いました。

TwitterなどのSNSで漫画(創作全般は置き換えて読めると思います)がバズって最初に起こる現象が「めっちゃDMが来る」なんですが、大半はWEBメディアから記事にしていいか?という簡単な連絡です。多くの人が期待する「出版社から書籍化の連絡が来る」は、バズがいよいよ大きく広まった頃に送られて来ます。ここで一点注意して頂きたいのが、書籍化したい方やPR案件が欲しい方は必ずプロフにメアドを書いてください。メールのみでDMが送れない古い体質の企業はまだまだ多いからです。PR案件も然り。DMを解放していた所で、メアドがないと窓口が無いのと同じです。

ここまでは、皆さんのご想像通りの「バズ→書籍化」の流れだと思いますが、晴れて書籍化すれば漫画家(作家)かと聞かれると難しい所です。私自身も最初の本を出した時「本を出すという経験ができた」くらいに思っていました。謙遜でも何でも無く、まさか自分が作家であるとは思えなかった。本人の気持ちの面でもそうだし、ましてや周りからしても「本を出した事がある人」程度です。

私は「SNSポリス」+「おしゃ家ソムリエおしゃ子」の二冊を出したあと、原作版「左ききのエレン」を描き始め、ジャンプスクエアとジャンプラで原作漫画連載がスタートと、大きく3つの段階を経て今に到るのですが、これを要約すると…

・バズ期(話題性、打ち上げ花火)

・作家移行期(継続性、コンテンツ)

・作家期(安定性、ビジネス)

こうして箇条書きにするとトントン拍子に見えるかも知れませんが、私しか知らない衝撃の事実があるんです。それは「バズ期と移行期が、まるで繋がっていない」という事です。バズった事で手に入れた知名度やフォロワーや華麗なるコネクションを使って長編を描き始め、ジャンプラでもリメイクされちゃって、みたいに見えてる方もいらっしゃるかも知れませんが、一発ギャグのバズ漫画で手に入れた武器は、長編漫画を描く上でほとんど役に立ちませんでした。

まぁ、冷静に考えて「ザッカーバーグ!!!!」って言ってた漫画家が「天才になれなかった全ての人へー」とか描き出したらウケますよね。いや、ウケもしなかったけど。最初は本当に、誰も読んでなかったです。連載媒体のcakesはPV数に応じて原稿料が入るんですが、初月は2万円くらいだった気がする。

武器や経験値を持ち越せる「強くてニューゲーム」状態なら、まだ良かったのですが、ギャグとシリアス、一発系と長編、何かも違うので単純に別のゲームを頭からプレイする事になった感覚で。

こう書くと「いやいや、ポリスの頃から今でも応援してるよ!わしが支えた古参じゃ!」と思って下さる方もいらっしゃるかと思いますが、そういう方は本当に希少で肌感覚としては100人に1人です。今となっては計測が難しいですが、SNSポリスを読んだ30万人の内、そのまま左ききのエレンの第一話を読んでくれた人数で言うとリアルに3千人くらいだと思います。いまはシリーズ累計で2億PVくらいですが、ここに来るまで本当に大変でした。

これからバズを狙って、それを足掛かりに作家になるぜ!と意気込んでいる方へ、反面教師としてアドバイスをするなら「バズを狙ってもいいけど、本来やりたいジャンルに繋げやすそうなネタを選んだ方がいい」です。

私は、異なるジャンルに挑戦する時「変換効率が良い/悪い」で判断してるのですが、SNSギャグ漫画も、インテリアギャグ漫画も、クリエイター群像劇に変換したらゼロになりました(笑)それくらい変換効率が悪かった。

しかもこれ未だに続いていて、身近な後輩やインタビュアーの方からは「すごいですね、エレンドラマ化に続いて、おしゃ子ドラマ化ですか!」って言ってもらえるんですけど、世の中的にはこの二つって繋がらなくて「実績が二つある作家」じゃなく、ギャグの引き出しとシリアスの引き出しに、それぞれ実績やら経験やらがストックされている感じなので、合わせてドンッとはならないんです。

なので、結論として

SNSきっかけで漫画家(作家)になるためには「バズった人」から「作家」に移行しやすいテーマを選んでおくべき。

という感じです。私は、それが出来ませんでしたが(笑)

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今回書いた内容で、もう少し補足が必要だと思った事がいくつかありまして「最初から本当にやりたいテーマでバズればいいじゃないか?」「そもそも一発屋と作家で何が違うんだ?」など、この辺は長くなるので改めて書きます。

最後に告知というか、

めちゃくちゃお願いなんですが…

こういう文章を書いてた「月額マガジン」が、手違いで消滅してしまい「登録者ゼロ」になってしまいました…!!!

マジでやっちまったって感じなので、本当に何卒、どうか加入の方をよろしくお願いします…!!!!!恥ずかしい。


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・グッズなどの先行お知らせ

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なども考えていますので、これを機によろしくお願いします。

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