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「楽しい」を見つけた今

一年前の自分なら、文章を書くことが楽しいと思わなかった。それどころか「文章を書くこと」に価値を見いだせなかった。

去年の秋くらいに「避けていたことにチャレンジしてみよう」と思い、小説を書いてみた。小説の公募スケジュールを調べ、8割くらいまで書き上げた頃、「これって本当にやりたいことなのかな?」と疑問が湧いてきた。

以前のわたしなら「せっかく書いたんだし、とりあえず最後まで書いてみよう。」と、自分に言い聞かせて書き上げていただろう。そして他人に「なんで途中でやめちゃうんですか?」と言われたら、気持ちが揺れたかもしれない。

自分軸で生きている今は「興味が薄れたから。本当にやりたいこととは思えないから。」と言い切れる。やりたいこと、やりたくないことを決めるのに、他人の意見を真っ正面から受け入れる必要はないと思っている。他人の目を気にしていたら、自分がやりたいことに対する情熱は冷めてしまうし、優先順位も下がってしまう。

わたしはわたし。あなたはあなた。

線引きが以前よりはっきりしてきた。

英語の表現で、'Leave me alone’という言い回しがある。「わたしに構わないで」「放っておいて」という意味で、日本語だとキツい印象を与えてしまうかもしれない。

「こんなことをしていても、何の得にならない。」「恥ずかしくないの?」私がこうして文章を書いていることに対して、ネガティブな意見を持っている人が周囲にいるけど、そういう人たちには'Leave me alone’と言いたくなることもある。

息子の出産後すぐに母の癌が見つかり、しばらくは育児と母のことで心身ともに疲れていた。数年後に当時の夫と離婚し、フルタイムの仕事を始め子育ても含めて、毎日やらなくてはいけないことが山積みだった。

離婚した年に母が亡くなった。母を亡くした悲しみと喪失感、離婚前からの精神的な苦しみ、息子のこと、その他諸々のことで、自分の楽しみなんて後回しだった。まるで、遥か先に光が見えるトンネルにいたような気持ちで毎日を過ごしていた。だから心から楽しめることを見つけた今、わたしは幸せなのだ。そういうわたしを応援してくれる人もいる。これも幸せだ。

ずっと止まっていた運命の歯車が、少しずつ少しずつ回り始めた気がする。他の誰でもない、わたしが人生の主導権を握っていることを実感している。





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