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元インター職員のつぶやき⑥ー学校に対する保護者の関わり方

日本の学校だと保護者が学校行事に関わるのは、PTA、運動会、入学・卒業式やバザーという限られた機会になる。日本の学校に比べると、インターは親がちょっとした行事に関わることが多い。

新学年度が始まって少し経つと、「高校最後の年を楽しんでね」と印刷されたカードとM&Mなど2,3種類のお菓子が入った袋が、12年生(日本の高3)全員のブックロッカーにテープで貼り付いていた(ブックロッカーは、よく海外ドラマに出てくる教科書とかを入れる鍵がついたロッカー)。お菓子やカードの用意や袋詰め、12年生一人一人のブックロッカーにペタペタと貼るのは、12年生のお母さんたちだ。

運動部の試合、吹奏楽や劇が発表される日には軽食や焼き菓子を用意し、スタンドを切り盛りするのも生徒のお母さんたち。

10月と12月に全校規模で行われる大きなイベントが行われる時に、「○○社日本支社社長」などの役職がついた駐在員のお父さんたちが、バーベキューグリルでハンバーガーのパテやホットドッグ用のソーセージを焼いている姿は当たり前だった。

学年度の最後に、教職員に対する「アプリエーション・ランチ(Appreciation Lunch」という行事があった。「一年間あらゆるところで、子供たちを支えてくれてありがとう」という感謝の意を表すもので、お母さんたちが料理や焼き菓子が持ち寄り教職員にふるまうのだ。ブッフェ形式で並べられている各国料理やお菓子は圧巻で、お皿に乗り切らない。

日本の学校でPTAというとすごく面倒でやりたくないものだけど、「子供が通っている学校のために何か役に立つことがしたい。PTAに参加してみるのも悪くない。」という感じで、日本より重荷に感じていないようだ。PTA役員には駐在員の父親の参加が多く、学校の運営方針に対する意見交換も活発のようだ。小さい頃から「自分の意見を言うこと」を、ある意味訓練されている彼らにとって、学校に対する意見を言うことは特別なことではない。

何故こんなに保護者が関わるのかなと考えた時、PTAに参加することや学校行事に関わることも、ボランティア活動の一環として捉えているからだと思う。そして彼らは「ボランティア活動の参加に慣れている」、そして「インターという場所を日本でのコミュニティ(自分たちが所属している地域社会)として考えている」からだと思う。

英語圏では、ボランティア活動に対する敷居は低い。公立の小学校でも、ボランティア活動の参加は当たり前のことになっている。コミュニティの概念として、日本人の生活に近いものが「町内会」と想像してほしい。彼らは、コミュニティのために活動することには慣れているのだ。インターという場所に対しても「子供たちが同じ学校に通っているんだし、コミュニティの一員としてお互い助け合いましょう。」という考えで、保護者は学校行事に関わっている。行事に関わることで、学校の様子や他の保護者をよく知ることが出来る。

「楽しみながら、出来ることを一生懸命取り組む。」彼らの姿勢から、そういう気持ちが伝わった。

日本の学校のPTA活動もこんな感じだったら、保護者が参加しやすいし苦にならないはずだ。




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