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お菓子作りとパチンコ──履歴書の呪縛を解きヒコロヒーさんになりたい

(註:アラサー女子と会話していると思って読んでください)

あなたは多趣味ですか? 多趣味ってどっから多趣味と言えるのかな。どのレベルから趣味と言っていいのかな。みんなスラスラ言えるの? 得意げに書けるものなの?

得意げ、なんて言ってごめんなさい。たくさん好きなこと打ち込めることがあるって、絶対素敵な人です。私が自分に自信がないだけです。
履歴書に書くような「特技」とまでいかなくても、自分が好きでハマっていると思えることなら自由に「趣味」と言っていいんですよね。わかってますけど、どうしても周りの人と比べてしまうんです、私。
履歴書には、趣味を書かなくてはならない魔の枠があるでしょ。その功罪は大きいと主張したいの! 入学試験や入社試験で、面接官は私を審判するに決まってます。そう思うともうボールペンがプルプルしてしまいます。もう私の心を締め付けます。自意識過剰? 自己嫌悪、被害妄想、劣等感……。まずいまずい。
無難に読書、映画鑑賞にしときますか。平凡だなぁ。毎月何冊読んだら趣味なの? 年間何作観たら趣味と言っていいの? うわぁ、悩むー。趣味を聞かれるたびに困っているシャイガール&シャイボーイ、一緒に自分探しの小旅行してみましょうよ。

私が初めて履歴書を書いたのは高校入試のときだから、中3でしたね。ほとんどの人がそうじゃないかな。(お受験する子は小6のときに自分で書くの? だとしたらさらに尊敬なんですけど)
そこに恐怖の「趣味・特技」記入欄があるじゃないですか。習い事を一切してこなかった私は困り果てました。趣味くらい気楽にさせてよ書かせてよ、って言いたい。誰に? そんなこと言ってどうなるものでもないので書くしかない。しかたなく無難な読書あたりでお茶を濁したわけです。実際に高校受験の面接で趣味について聞かれたかどうかというと、ン十年も前のこと、覚えていません。たぶん面接は形式的なものだった気がします。幸い成績は良かったから受かりました。もっとも、すべり止めの高校だったしね。第一志望校のほうは面接がなかったので、何のプレッシャーもなく合格しました。

高校受験で事無きを得たなら、克服できても良さそうなものですよね。全然ダメです。変わりません。そのあとだって履歴書ってやつは人生の節目節目に立ちはだかり、私を締め付ける。プチトラウマです。それが嫌なら必死に趣味を広げたり、特技と言えるよう何かを突き詰めたりすればいいのですが、なにしろ自分に自信のない私、避けて通れる競争なら避けたい私は、逃げてきました。
だからパチンコが趣味なんて言える人って、逆に尊敬しちゃう。「パチンコが趣味なんて」という言い方、なんかディスる対象のようになってしまって、ごめんなさい。大人になったらできる娯楽産業の代表として引き合いに出しました。だってそういう人もまさか履歴書には書かないでしょ? それでもギャンブル業界に就職するなら書いていいのかもね。
履歴書の呪縛を解けて何も審判を下されない場面、世間話レベルで初対面の人に趣味を聞かれたときに「パチンコが好きです」と言ったって構わないじゃない? 私は勝負事に弱いのでギャンブラーの気持ちはわかりませんけど、堂々と言えるメンタルは自分にないから、逆に尊敬です。ディスったり見下すなんて気持ちはないです。(本当なので2回言いました)
今テレビ番組などで引っ張りだこの女性お笑いタレント、ヒコロヒーさんが、ギャンブルもお好きだと堂々と話されるのは、とても潔いというか清々しい気持ちで観ています。憧れます。
だから大人になったら面接でもない限り、何を趣味と言ってもいいのよ。折れない気持ち!

でもさ(もじもじと小さくなって)、仕事にしてしまったら趣味とは別のカテゴリーにしないといけないことない? 趣味ってさ、大人だったら仕事、学生だったら勉強以外で、家事や育児、介護に充てる時間を除いた自由な時間。可処分時間なんていう言葉ありますね。そういうときにすることかな。
例えば料理が趣味と言える人。何基準で考えて答えるのかな。プロの料理人とかは仕事だし特技だろうし、除外するとしましょうよ。主婦をはじめ一般人が3食365日、作っていても飽き足らず、腕を磨きたいと思えるってことかな。それは頭が下がりますけど、やっぱり趣味と呼ぶには違うね。手作り弁当を毎日インスタにアップしてたら、そう? 見栄え(見映え)重視になると、普通の食事もその人にとっては作品になるんだ。そうかもね。私には無理だわ。ちょっとちょっと、今、”みばえ”って変換したら見映えも見栄えも使えるよ。見栄みえに通ずるじゃない。これ本質を突いてる。映え→見映え/見栄え→見栄。見破ったり!(縮こまりから元に戻りました)

だよね。これ見よがしにリア充をインスタアップする人たち、それが趣味なんだよね。卑屈な私は「見栄を張るのが趣味なのね」と決めつけますよ、あなたたちを。強い人とは距離を置きたい、弱者の気持ちになってしまう性格だから。
あれ? 私も人を審判してる。やだなー。また心が折れちゃう。

映え写真を見栄で撮ってるだけ、食べるだけで作らないなら、○○鑑賞と同じレベル、平凡じゃん。自分でそう思い込んでるの。わかってる。レベルが高水準だったら平凡じゃない趣味に格上げされる気はする。じゃあどっから? 人それぞれじゃ困るの、自信ないから言えないの!
自分で作るかどうか、鑑賞で終わるんじゃなく創造する制作するかどうかの違いというのはどうかな。読書も、読んでるだけでは充電してるだけ。ため込んだものは使いましょう。映画鑑賞も、なんならテレビ見ていても、何か発するための時間消費なら、準備段階だから勝ち負けはないの。数を競わなくていいの。鑑賞は平凡な趣味。平凡と割り切って趣味と言える勇気を持つだけ。
料理は、献立を考えるスタートからすでに、飽きないように工夫する、無駄のないように食材を買う……、立派なクリエイティブワークと言えるけど、食生活というルーティーンなので、趣味という言葉にはそぐわない気がしてます。家事は可処分時間じゃないからね。そこへいくとお菓子作りは、料理よりも趣味寄り。ときどき作る、なんなら誕生日やバレンタインデーなど特別なときに作る嗜好品。うん、趣味っぽい。
また引き合いに出して申し訳ないけど、もしもパチンコ台を趣味で作る、中古台を手に入れて直す、そんな強者がいたらパチパチ拍手。(パチンコだけに)
ただただパチンコ通いをしている人は、週何日するとか、勝ち越してるとか数やレベルで趣味を語るには平凡。パチプロさんは特技であっても仕事じゃない。社会通念的に職業とは見なされないはずだから。いくらそれで稼げていようとも平凡な趣味です。

質や量は関係なし。ただこなすだけの余暇の過ごし方=平凡な趣味
平凡であろうと蓄積した先に、何かを作り出す余暇の使い方=(自信を持って言える)趣味
平凡と言われようと、趣味ですと答える勇気があるかどうかだけ。

以上、独りよがりでこねくり回した”趣味”問題。自分探しの小旅行でした。
「お菓子作りと中古のパチンコ台を集めて直しています」なんて言えたら、めっちゃギャップでカッコイー。ヒコロヒー。

(ヒコロヒーさんがお菓子作りやパチンコをされるか、台を集めて直しているかについては、未確認です)

《2023.2.27天狼院書店ライティング・ゼミ2本目》

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