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祈りにも似た自己療養

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書くことで、自分の輪郭を保とうとする私がいます。
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#日記

恵まれているが心底どうでもいい

私はそれなりに努力をしていたのだった。 すべてが冴えなかった、悪くはないが良くもなくって、愛すべき日々ではあったが通りすがりの誰かのくしゃみで吹き飛んでしまいそうなくらいどうでもよかった。そして時折、胃袋が捻じ切れそうなくらい腹が立った。 勉強をしても上の下だった、楽器を吹いたら努力だけが認められた、人と精一杯関わろうと努力をしたら都合の良い人間になっただけだった。人生を通して何かとタイミングが悪かった。我慢強く努力出来たのに、自分の努力そのもののことを信じきれなくてあと少

夏が砕ける音・悲しい匂い

8月になった瞬間に蝉がわんわんミンミンぎゃんぎゃん鳴いている。2歳くらいの小さな子供はこういう泣き方をするような気がする。ひたすらに泣くことに専念しているような。 その日の昼下がり、酷暑のなか、バイト先に出勤するために自転車にまたがり漕ぎ出した瞬間に、前輪のところでパリッと音がした。夏が砕ける音。タイヤには蝉の抜け殻がくっついていたらしくて、少し後退させたタイヤの下からは、小金色の破片がぱらぱらとアスファルトにこぼれていった。それをもう一度轢いて、自転車を走らせる。出勤する

眠りたくない

疲れたのに早く寝ようと思った日に限って、書きものをしたくなるのはなんでなんだろう。いつもは垂れ流して聴き流してしまう音楽に、じっと耳を澄ませたくなるのはなんでなんだろう。頁に整列した言葉ひとつひとつの頭を撫でてやるように、ゆっくり本を読みたくなるのはなんでなんだろう。眠たいのに眠りたくない、抗いたくなってしまう。 まあ大した理由なんて無いんだろうな。 私にこびりついてる子どもの所が、まだ反抗期の真っ只中なだけ、たぶんそれだけ。 嫌だなほんと、大人になるのは嫌だな。 明日

理由とかそんな大層なもの、

無いんだよ別に。 写真を撮るにつけてもそう。 以前のわたしは、何を始めようが終わらせようが、何を好きになろうが嫌いになろうが、そこに当たり前に理由があると思ってた。だって、そう教わったんだもの。 写真を撮る理由を、このnoteに書き並べてみたことすらある。けれどもそんな大層なものを常に抱えている器用さを、わたしは持ち合わせていない。 年越しと私、撮る理由。|月嶋 真昼 @noontime_moon #note https://note.com/noontime_moon/

生活

冒頭でぶっちゃけるけど、2月に入ってからけっこうな鬱である。 緩やかに落ちていってる自覚はあったけど、2月頭に体育の強化合宿(5日行くだけで単位もらえるやつね)から帰ったあたりから、カクンと急に落ちた。 こんにちは服を着た無気力な肉片、其れ則ちわたし。ハローエブリバディ。 もうほんとに何もする気にならない。 音楽も写真も読書も手につかない、掃除が出来ない、家族との会話にろくに反応出来ない(ほんとごめんね)、食べるものを選べない、目眩と頭痛。天気予報を見る余裕もなくバイト前に適

そんなバカな、みたいな安心

2019年、師走に入った頃だと思う。 その年の4月に出会った、まだ知り合ってから1年も経たない友人と、寒い夜、おでん屋さんで泣いてた。 嘘みたいだけど、ほんとの話なんだよこれ。 泣きながら、 「わたし、あんたに会えて仲良くなれてすごく嬉しいんだよ」 って。バカなんじゃないの。いや、間違いなくバカなんだけど。まあもう少し、この戯言を聞いてやって下さい。 話は2016年に遡る。 高校1年生、出席番号順に座ったときの後ろ席の男の子と、私は仲良くなりたかった。細っこいからだの、頭の

瑞々しい感覚を忘れたくはないな、という話。

. 瑞々しい感覚を、忘れたくはないな、という話。 朝スキッと起きれた日があったこと、誰かと語らいながらゆっくりとあじわって食事をするということ、疲れた体を湯船に浸せるだけのこころの余裕、太陽が傾いていくだけの様を綺麗だと思えること、目配せの意味が分かった瞬間。 ―瑞々しさの尺度をどこに置くかは、その日のわたしの気分次第なんだけど。 乾いてない感覚をどこかに持っていたいな、と思う。(“持つ”というより、“見つける”の方が正しい気もする。)その感覚は近くにあっても、遠くにあるん