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【レポート】テレビノーク#6

月に一度のおしゃべり配信「テレビノーク」。 2023年初回の放送は1月23日にお届けいたしました。
#6のアーカイブはこちらからご覧いただけます👇

#6のテーマは「出来事の跡を歩く」。NHKエンタープライズ・ディレクターの大島隆之さんをお迎えし、戦争や震災といった、これまでに起きた出来事を掘り起こしていく活動やそのプロセスと番組づくりについてお聞きしました。
今回レポートがとても遅くなってもはやその次の#7もライブ配信が終わってしまいました。すぐ書く癖をつけねばと猛反省です。
遅ればせながら#6のおしゃべりや1月の活動を振り返っていきます。

展示に演劇、活動ラッシュ

大島さんをお呼びする前のフリートークは1月の活動について。
NOOKが震災後の東北でこれまでに試みた記録の実践や、アートユニット小森はるか+瀬尾夏美の活動や記録、表現の一部をベスト盤的に展示する「語らいの記録2011-2022」。12年にわたるアプローチを、当時の時期背景を今振り返ってちょこっと考察したテキストを添えて集結させました。
会場は、テレビノークの配信拠点でもあるアーツ千代田3331 Studio302。
(※展覧会はすでに終了しています……また開催したいですね!)

震災後のさまざまな歩みが集まる会場
2017年制作「語り野をゆけば」の展示から
それぞれの語る声が、会場で重なって響きます

災後12年の中には細やかな変化があり、語られる内容も変わっていく。その時々で記録されるべき変遷があったし、それに呼応して聞くためのアプローチも角度を変えつつ編み出される。翻って、この技術ってだれかの日常ですでに発明されてきてた行為かもしれないよね。そんな風に踏まえながら時々に試みた「語らい」が集積した今回の展覧会。いま東京でどんなリアクションが生まれるかな?と開いてみたところ、映像を通して声に耳を傾けたり、言葉を読んで想像を重ねたり、時間をかけてじっくり過ごしてくださる方が多かったです。震災当時まだこどもだった若い世代が関心を寄せて多く訪れていたと、瀬尾さん大地くんのおしゃべりで嬉しいエピソードも聞けました。
同時期に開催していた大地くんの劇団 屋根裏ハイツ『父の死と夜ノ森』でも話題がリンクしていたようにも思います。戯曲の舞台となる土地の人、実際の風景を知らない人、同じ空間で同じものを眺めることを意識しつつも適温でつくっていくようなおしゃべりで、またつい長話。

大島隆之さんご登場!

大島隆之さんは1979年東京都生まれで、幼少期はアメリカで過ごされています。2002年にNHKエンタープライズのディレクターとして、主に戦争や災害をテーマとしたドキュメンタリー番組を制作。主な番組に、シリーズ証言記録・東日本大震災「岩手県陸前高田市――消防団の見た巨大津波」(2012)や、「少年たちの連合艦隊~“幸運艦”雪風の戦争~」(2020)など。主な著書に『巨大津波 その時ひとはどう動いたか』(岩波書店)、『特攻の真実』(幻冬舎文庫)などがあります。

NHKスペシャルでピンとくる方が多いのではないかな?と。

番組のディレクターさんと伺って、ちょっとドキドキしていたのですが、配信越しに大島さんにいざはじめてお目にかかるとスッと自然に入られていて、そりゃ大島さんも旅人だった……と秒で腑に落ちました。

←旅人  ↑旅人  →旅人

冒頭は、大島さんが震災直後にどのような流れで東北に入られ、現地での動きをお聞きしつつ、大島さんと瀬尾さんの共通のキーマンである陸前高田の大坂さんとのエピソードに花が咲いてました。
Youtubeのチャットコメントと共にご視聴いただきたい部分でもありますが、陸前高田で出会う人々と大島さんとのあいだで交わされる関係が、語り手と聞き手の関係の結び方としても印象的でした。被災地取材で陥りがちだった、取材される人/取材する人の立場から離れられずに疲弊してしまったり搾取の問題で止まってしまったり、というよりは、一緒に何かやれそうと気持ちの上で近い距離にいてくれる大島さんの存在感。

大島さんには、以下のトピックにじっくりお答えいただいています。
ぜひYouTubeでお聞きください👇

・戦争や被災地のドキュメンタリーを軸にされてるけど、そもそもきっかけは?
・どんな風にハマった?または影響を受けたこと

・小学校の時に読んだ原爆の物語の絵本「おこりじぞう」のこと

・取材の興味は、その時代を生きた人への興味?それとも歴史としての構造の検証?

・震災が起きて5ヶ月で放送予定だった戦争の番組。作り方は変えた?

・震災の取材を経て、戦争の取材の仕方は変わった?

・これまで取材やインタビューしてきた中で、印象的だったり教訓になったようなこと、失敗などは?

・記録を残すという意識は?

・残っていく記憶ってなんなんだろう?

・特攻隊員の家族を訪ねる / 人に蓄積された記憶とタイムリミット、記憶が残る、残らない境目にある今

・すでに当事者がいない資料、亡くなった人の手記を読むときの意識

膨大な蓄積が検証へつながる

全国各地にいる特攻隊員の家族のもとを訪ねられている現在の活動を聞き、大島さんの手法のごく一部を今回覗かせていただきました。
とにかく全員に会いに回って記憶を掘り起こし、そこで膨大な蓄積をつくっていくからこそ検証につながっている。それが単純な量の消化や象徴としてのストーリーの調査でなく、語られたかどうかの背景も含め、それぞれの面影が感じられる蓄積を持つ。記憶や記録から見つからなかった時には、その空席もきちんと残しておくことも大事に感じました。
「土地の人が欲しいのは検証すること」「やっぱり検証だよね」とコメントもあり、今回は跡を歩くか故の「検証」がキーワードになったように聞いていました。被災した土地で出会う人々が、自分たちが知りたいことやこれから語っていく中で必要なこととして学び直しや検証を求めてるし、出来事が起きてから時間が経ち、後になって合流する人が何か一緒にやることのうちのひとつとしても「検証」は常に必要とされてるかも。

「今触れておかないと気づかれずに消えてしまう」


調査から番組作りへの工夫も含めて、またお話しをお聞きできたらなと思います。

大島さんは番組以外にもさまざまな媒体で活動されているのでぜひ!👇


次回 #7のテレビノーク

レポートが滞った間に2月放送の#7のライブ配信も終えてしまいましたが、 #7では「過去を描く」をテーマに、漫画家の山田参助さんをお招きしておしゃべりしました!
#7はアーカイブ配信をご覧いただけます👇👇👇

直近のライブ配信は3月11日(土)15時ごろからテレビノークスペシャルを予定しております!
2月の#7のアーカイブも3月のスペシャル配信も、どうぞよろしくお願いいたします〜!


レポート:佐竹真紀子(美術作家)
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