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火曜5限 世界のことばA 「ブルガリア語」アクティブラーニング課題

私が今回見た映画は「さあ帰ろう ペダルをこいで」です。これは、記憶を失った主人公と、その祖父をめぐる物語で、舞台となる国は主にブルガリア(故郷)、イタリア(主人公とその家族の疎開先)、そしてドイツ(搬送先の病院)です。構成としては、最初に事故が起こり、①現在祖父が孫の記憶を取り戻そうとする軸、そして②その記憶(移民キャンプでの記憶)、そして祖父の過去などが展開される軸が交互に映し出されます。
 僕が一番感じたことは、この映画ではブルガリア語が主に使われているとはいえ、ドイツ語が入り込む隙間がかなり多くあったことです。確かに、主人公は青年になってからはドイツに住んでいて、舞台がドイツになったときにも勿論ドイツ語は使われますが、祖父もまたドイツ語話者であったこと、二人で自転車で帰国しているときにも、会話の一部がドイツ語でなされていたことが挙げられます。調べてみると、意外とつながりが深いのかもしれません。
 そのほかに、この映画のキーとなったのが「バックギャモン」というゲームで、これは物語の冒頭から、最後に至るまでずっと出てきます。そして、主人公が一人前であることを認められるきっかけにもなっていたのです。調べてみると、発祥がニューヨークのゲームなので誇り高き国民ゲーム、というわけでもなさそうですが、国単位で人気な理由はありそうです。サイコロを用いて、名称にある各角をコマが移動していくゲームに見えましたが、最後まで映画を見ても結局ルールが分からなかったので、思いの外複雑なゲームなのかもしれません。サイコロが盤の上を転がる音や、コマを動かしていくその音が、見ていても聞いていても楽しそうなゲームだと感じました。
 この作品で、一番心に残ったセリフは、主人公がサイコロに文句を言ったときの祖父のセリフ「でもそのサイコロを振るのは自分だ」です。どんな境遇にいても、踏み出すのは自分の足だという教訓を得ました。
 作品の舞台は1983年、共産党統治下のブルガリアとありました。不穏な日々が続く中でも歩くことを止めない、祖父の力強さを感じた作品です。また、今回、父と子の家族愛ではなく、祖父と孫という関係もまた緩急を生んでいると思います。主人公はまだやんちゃ盛りですが、無理を言う祖父に対しては手出しできません。これが父であったら喧嘩の一つもしていただろうと思います。それでいて、主人公が幸せを掴めるような努力を惜しまない祖父の姿勢も、この物語の中で柔らかさを生んでいます。僕の祖父は二人とも早くに亡くなったので、一代隔たった、仲の良い親族がいればよいな、とつくづく感じます。イタリアへ亡命することを決めた父もそうですが、親のこと、家族のことを優先して行動していても、理解されないことが多々あります。それでも無償の家族愛を注ぎ続けることが後々に生きてくるのだと学びました。

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