
【秋田県・大館市】交通費から滞在費まですべて負担してもらえる夢のような場所で「旅、ときどき仕事」
「ここではないどこかに行きたい」ときに、足元にズルズルとぶら下がってくるものは、現実味をたっぷりと含んだ「お金の問題」や「時間の問題」だ。
自由に場所を移動しながら働くことができるわたしたち「旅、ときどき仕事」のメンバーだってお金と旅の天秤とにらめっこしながら、いつも頭を悩ませている。
そんな悩みに、どこよりもよく効く処方箋を出してくれたのが、秋田県・大館市だった。
滞在・交通費・温泉・レンタカー利用・・すべて負担してくれる夢のような体験事業 |「星と緑と温泉の360°パノラマ」サテライトオフィス体験事業
この取り組みを偶然見つけた瞬間、おどろきすぎて何度も何度も読み返してしまった。今まで「コワーキング利用無料」や「滞在無料」は見たことがある。
だけれどこの大館市の取り組みは、そんな生半可なものではない。
すべてが無料なのだ。
パソコンと着替え、飲食費のみ自己負担。
その他の
・現地までの旅費
・オフィス環境
・温泉
・レンタカー代
・滞在の生活費
・資源体験
はすべて無料。
飲食費のたった数万円(か数千円)で旅ができてしまう。これほど魅力的なお誘いはない。
ただ逆にここまでウェルカムにされてしまうと「やったー!ラッキー!」より「なぜここまでして・・・大丈夫か、大館市」の思いが先行してしまう。
日本人の「タダより高いものはない」精神が、わたしにもしっかり備わっているからなのだろう。
だから東京で説明会が開かれると聞いたときに、すぐさま参加ボタンを押した理由は、説明するまでもないと思う。
「多くのひとに秋田の魅力と現状を知ってほしい。そして、また来たい! と思ってほしい。だからぜんぶ負担します」
上野のいいオフィスでおこなわれた説明会は、わたしのようにきっと「どうした大館市!」とワクワクしながら詰めかけたフリーランスや事業責任者の方でいっぱいだった。
近くにいたイベント担当者に「なぜここまでするんですか」と訪ねてみると、「また来たいと思って欲しい」と言う。「ここまでしなくても、また来たいと思うのでは?」と続けて質問すると、「秋田は来たことがありますか?」と逆に訪ねられ、首を横にふる。
「いま秋田県は、観光客数も人口も、すこしずつ減っている現状があります。魅力的な場所は多いはずなのに、発信も、十分にできていない。だからこそ多くのひとに秋田を訪れ、魅力を体感して欲しいんです」
「”また来たい” の前に”まずは行ってみよう” をつくりたい。そのために、最初のハードルをできるだけ下げたくてこの取り組みをはじめました」
と返ってきた。
確かにひとり旅でも、友達との旅行でも、秋田県に行こう! と思ったことは、恥ずかしながら今まで1度たりともなかった。
きりたんぽが有名な県。
それが、わたしの中の”秋田”に対する最大限の知識だった。
イベントの中盤「もう食べた?」と差し出されたふんわりあたたかいきりたんぽ鍋を食べながら、わたしはこの企画の「参加希望」に大きく○をつけた。
新幹線とローカル線を乗り継いで約5時間。はじめましての秋田県・大館市。
数日後。わたしたち「旅、ときどき仕事」メンバーとフリーライターのゆりあを含めた5名で、大館市に向けて出発する。
「チケットが無事届いて安心しました」と連絡をくれたのは、今回の旅のオーガナイザーの石川さん。新幹線の手配まで一括で行ってくれた。さらに大館駅に迎えにきてくれるという。かみさま。
パソコンとシャボン玉を片手に、ローカル電車に揺られるゆるい時間がたまらない。新青森駅で買った海鮮おいなりさんが、この旅の最初のお供になった。
今回の目的は、半分仕事、1/3はあそび。それに、大館市の魅力を「これでもか!」と全身全霊で味わうこと。
到着すると、石川さんをふくめた役所のみなさまがあたたかくお出迎えしてくれた
レンタカーを走らせて30分。向かった宿泊施設の「快適さ」に感動。
このプロジェクトの拠点となる「ベニヤマ自然パーク」は、まさに都会疲れしたわたしたちにとって、憩いの場所。自然たっぷりの作業机に、広いロッジ。外でもバリバリにつながるWi-Fi環境。そしてそばには無料で入浴ができる温泉。
もちろん、レンタカー・ガソリン・宿泊は無料だ。
数十メートル先の隣のロッジには、他の場所から来たフリーランスたちが滞在している。静かな自然の中でPCをカタカタする爽快さといったらたまらない。
秋田って、こんなに自然豊かな場所だったのか・・・と改めて痛感する。
緑の匂いが、心地良い。
仕事につかれたら大館市の会いにもいける、アイドル犬のののちゃん
仕事にすこし疲れた午後。街へ足を伸ばしておとずれた「ゼロダテ(0/DATE)」では、アイドル犬のののちゃんと触れ合うことができる。
柴犬との違いがわかるかなー・・・と思っていたけど、触ってみてびっくり。全然違う! 一発でファンになってしまった。
ちなみにここも作業場として利用可能。とてもおしゃれな場所だった。
大館市には、こんなオシャレな場所も多い。
(個人的には、タリーズコーヒーの広さと居心地の良さに驚いた)
昔ながらのお店も、新しいお店も、共存して生きている。
地元の方や、秋田の文化に触れあう。秋田県民のあたたかさ。
旅をしながら仕事をしていると、ふと思わぬところで、出会いが繋がることがある。
あるメンバーは、トラクターに乗る男前農家集団「トラ男」主催の武田さんに取材に行ったわけだが、その際お世話になったカメラマンが、根子のまたぎ。その出会いから、翌日は、彼ら主催のまたぎツアーに参加する。
こうして出会いが連鎖し、繋がっていく感覚が心地良い。
大館の方も積極的に、わたしたちに交流場の場を提供してくれる。
朝、散歩をしていたメンバーのひとりが、農家のおじさんに生みたての比内地鶏の卵と、秋田こまちをたくさんもらって帰ってきた。
外に出て、思いっきりかっ込むと、つるんと喉に卵の濃厚な味がはいってくる。
幸せの味がした。
秋田県の方と触れ合っていると、自然とあたたかさが伝わってくる。
話しかけると、ふんわりと優しく受け止めてくれる心地よさに、とてもおどろいた。
その後も、日本一と呼ばれる玉川温泉や、伝統工芸品の曲げわっぱ工場にお邪魔させていただいたりと(合間に仕事をしっかりしながら)大館市を満喫させていただいた。
はじめての大館市。
人の良さや自然の綺麗さに触れて、最終日にはもう1度ここに訪れたい! という思いをこめて「いってきます!」と手をふった。
なんだか、特別にやさしい場所だった。
”ただの旅” がまた帰ってくる場所へ変わる瞬間
”大館市が、ここまでする必要性はあるのだろうか”
説明会に参加したあとも、わたしはもんやりと、ずっとこのことを考えていた。
だけれど実際に参加してみた今だからこそ、自身を持って「ある」と言える。
それは、こうして大館市が「最強のウェルカム姿勢」をとってくださったことで、わたしたちも「全力のお返し体勢」をとりやすくなる。
現に滞在中、メンバーの口からは「もっと発信しよう」とか「今日はSNSに何もあげていないから、これをあげよう」などのワードが頻繁にあがった。このおもてなしがあったからこそ、安心して取れる「お返し」の体勢なのかもしれない。
また、「この人たちに返せるものは何があるだろう」とただの旅行者よりも、精神的にもっと深い位置に立つことができる。
”大館市”がもう、他人ではなくなるのだ。
こうして文章に込める思いだって違ってくる。
きっと、こういうことなんじゃないか。
ちなみにわたしたちが出した結論は、もう1度、2度と、お邪魔させていただくこと。
繰り返し足を運び、もっともっと大館市の魅力を知っていきたい。
もちろん今度は、もっとたくさんの仲間を連れて。
もし今、この記事を見ているお金と旅の天秤を、心の中で揺らしている方がいたら
ぜひこの取り組みを通じて、秋田県・大館市の魅力に触れてほしい。
それではまた戻る日まで、
いってきます。
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