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【文】『聖なるズー』読みました(感想)


※ズーフィリア当事者の方にとってはちょっと辛いこと書いてるかもしれません(世間のズー当事者に対する嫌悪について触れてるので)

ずっと気になっていたズーフィリアにまつわるノンフィクション『聖なるズー』をようやく読めた。 ので感想をしたためておきます。(全然まとまってない散文ですがご容赦ください)


動物、主にペットを(たとえ成体であっても)子どものような存在として扱うのが世間一般的で、ペットの主体的な性欲は無視されているという話がいちばん興味深かった。
それに対して、成熟した動物には性的な欲望と実行力がある、動物の性を軽視せずにちゃんと向き合うというのが一部のズーフィリアの人達の考え方らしい。
(犬を飼っていた経験がある著者によって)動物にも主体的な性欲があるなんて考えもしなかったとも書かれていたけど、昔うさぎを家で飼っていた私的には「そんなことある???」というのが正直な感想だった。

だってあいつらめっちゃ抱きついて腰振ってくるやん!!!!

動物にだって性別や性器はあるし交尾はするし生殖が個体を増やす手段なのに、性欲があることが想像できないなんて、そんなことある…?
去勢だってペットにも性と欲があると分かっているうえで、それでも人間社会で生活するには問題が生じてしまうし増えすぎて多頭飼い出来ずに捨てられたり保健所送りになったりとかもあるから、動物には申し訳ないと思いつつも仕方なくしてるもんだと思ってたのだが…。
それともそういう動物の性行為はただの本能?システム?で人間のそれとは別物と分けて捉えられてるってことなんだろうか…。(私の文章の読みが甘いだけだったら申し訳ない…)
私は動物と人間をわりと近しい生物として捉えてるのでなんかこう違和感が芽生えてしまった…。

そういう動物の性欲への認知の有無ゆえなんだろうけど、ペットがごはんが欲しい時や遊びたい時は分かるのにセックスしたい時だけ分からないなんておかしくない?的なのがズー当事者の意見のひとつとして挙げられていた。
でもそっちはそっちでメスとするように自分と交尾したがってるのか地位の誇示でマウントされてんのか無機物でオナニーするのと同じ感覚で腰振られてんのか分からんくない?とも思う(後者でもまあ振られてる側がそれでも良いならいいんじゃないとも思うが…)。
それも私はうさぎ相手だからピンと来なかっただけで、犬だったらその違いももっと分かりやすかったりするのかな…。
(小動物や猫等々は相手の意思が伝わりづらいし体格差も大きいので、意思が比較的理解しやすい犬や馬をパートナーにするズー当事者が多いらしい)
それともただの認知バイアスなのか…。
逆に人間同士は言葉が交わせるからってちゃんと合意取れるって言えんの?言葉に頼りすぎじゃない?はほんとにそう。
怯えた状態でのYESなんてYESとは言えないし、逆に互いにノリノリかつ信頼しあってる関係だったら言葉の合意なんて要らなかったりするもんな。
本書のズー当事者も心的繋がりを感じた唯一のパートナーとだけ性的関係を持ってたし、長年連れ添って生活していたらちょっとした仕草とか雰囲気とかで分かるようになるのかもしれない…。

でも確かに可愛いペットの生々しい性に嫌悪を示す人は少なからず居るんだろうなとも思う。
ネサフしてたら動物のマウンティングとか性事情とかにめっちゃ不快感表してる人もちょいちょい見かけるし…。
「ペット マウンティング」で検索したらだいたいやめさせる方法とかが出てきて、確かに迷惑かかるとこではやめさせるようしつけが必要だろうけど、そうじゃない時も一切やっちゃいけないの…?って思ったらちょっと同情してしまう(ヘビーオナニスト)。
生き物として当たり前に存在している性を無きものにされる見ないふりをされるという話には敏感なので(だからこそマスコットにも性はあるというコンセプトでモブうさぎを描いてるわけだし)、こうグサっと刺さったものはありましたね…。
というのもまた私が感情移入しているだけなので、動物にとって何が幸せなのかは分からないけども…。
どのような選択をするにしても、動物の幸せの為に絶対こうすべきと言い切ってしまったらそれは人間の驕りのような気はする。
(犬のマウンティングに関してこんな掲示板を見つけました。→ https://www.dogoo.com/toukou/dogqa/faq_log/1051039.htm やはりいろいろな意見がありますね。)

ちなみに動物の主体的な性欲を尊重するっつっても、もちろん人間がセックスの相手になるだけが選択肢ではなくて、ちょっとオナニーを手伝ってあげたり、犬用のセックストイを与えてあげたり、なんてのも紹介されていた。
載っていたブランド「Hot Doll ( http://www.hotdollfordog.com/ )」、調べてみたらなんともスタイリッシュな見た目のラブドールであった。
こういう犬用のセックストイに対しても、犬が使うの?wみたいな笑いのネタとして扱われてることが多いので、世間的にはそういう認識なんでしょうね…。

それに加えて、動物とパートナーシップを結ぶにあたって、動物と対等な関係であるにはどうあるべきかと深く考え悩むズー当事者の話も心に刺さった。
動物から性行為に誘って来た時だけ受け入れる、性行為を促進させるようなトレーニングは絶対行わない等々、一部のズー当事者団体の中では動物と対等なパートナーシップを結ぶためこういった決まりがあるらしい。
イレギュラーな相手と性的関係を結ぶにあたって、どうすれば対等でいられるだろうと悩みに悩む気持ち、私はズー当事者ではないけどめちゃくちゃ分かるな…と思った。
二次元推しと二次創作内でどうやったら対等な関係を築けるかめちゃくちゃ考えて悩んで頭ぐるぐるさせてたしな…。(今まさに創作漫画で描いてるように)
相手の意思が分かりづらいし立場上相手を思い通りにしやすいからこそ、意識して自分自身を律さないと、うっかり自分に都合の良いように考えて都合の良いようにしてしまう。人間は自分勝手だから。
そうなるのが怖くて奥手になるし、ずーーーっと考え込んでしまうんですよね…。
いかに道徳的に正しい関係を性対象と持てるかに固執していく(作中では「聖なるズー」(タイトル回収胸熱)と称されていた)のも世間に認められないセクシャルマイノリティあるあるだなというか…。
それによってどうしても相手に負担を与えやすく暴力的なイメージが先行してしまう挿入する側が肩身狭まっていくかんじも…。
(対して私は自分自身挿入される側として、加害者と見なされにくいことに甘えている自負はあるというか…)

これ読んだ後に少しネサフしたのとちょうど今日動物との性行為がTwitterで話題になってたので、動物性愛に関していろんな意見を見たのですが、多様性も浸透していってるなか(これらと違って性的願望を実現する事への是非はあれども)それでも脳直でキモい!って堂々と言っちゃう人けっこういるのな…しんどいな…と思った。
動物と性行為をしているまではいかずとも、動物に性愛を抱いてる人は普通に周りに居るんだぜ…。
この本の評価にもだいぶ嫌悪感強く示してるのが結構あったけど、私的にはこういう人らも居るんだな〜ぐらいでしか思わなくて(むしろセクシャルマイノリティとしてちょいちょい共感する部分があったり)、そうか…そう感じる人にはそうなんだな…と打ちのめされた感があった。
そしてそのような目線を向けられるズー当事者側にも他の性愛に対する嫌悪は存在していて、一部のLGBTとPZNの間に断絶があるように、よく同一視されることもあるペドフィリアをひどく嫌悪しているズー当事者もいるのだとか…。
いろいろな背景もあるし、受け入れられない感性があるのも当然ではあるんだけど、そんなあからさまに嫌悪を露わにされると、どうしても悲しいという感情を抱いてしまうな…。
どんな性愛であっても、頭の中で夢想するのは自由なんだぜ!(雑な締め)

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