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映画『メランコリック』レビュー

軽い気持ちで見た映画でしたが、作品のパワーに圧倒されたまま、気づいたらラストって感じでした。
一切の無駄がなかった印象。まだ見てない方がいらっしゃいましたら、AmazonPrimeで見られますので、激しくオススメします。

個人的に何がそんなにツボに入ったか・・・、キーワードはコントラストです。

1.あらすじ

東大卒業後、定職につかずアルバイトで暮らす和彦。ふとしたきっかけで利用した近所の銭湯で、高校時代のクラスメートである副島百合と再開する。百合との接点を持ちたいがため、銭湯でアルバイトを始めた和彦だったが、その銭湯には二つの顔があった。浴場の広いスペースと、シャワー等の設備を大衆に風呂場として提供する表の顔とは別に、裏社会の人間処理(殺人・死体処理)を提供する裏の顔があったのだ。

ふとしたことから、裏の顔を知ってしまった和彦は・・・

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2. おすすめしたい人

・面白い映画を探している人
・仕事・人生に疲れてしまった方
・なんで生きてるんだっけとふと思ってしまう方

3. 評価

個人的な評価:★★★★★

4. ポイント

(和彦はなぜ東大卒でアルバイトなのか)
東大卒の主人公がなぜ銭湯でバイトか?なぜ就職しなかったのか?作中でも、何回か和彦はたずねられます。
その理由は後半で本人の口から語られるのですが、それを聞くだけでも価値があります。
2つ目のポイントである、この家族にしてこの人物なのかなとスッと腹落ちしました。

この映画が「よくある映画」とかけ離れてるのは、この最強ともいえる家族と簡単に人が殺される非日常的な世界とのコントラストによるものではないかと、感じました。

(和彦自身)
和彦自身、東大出てるんだよね?と聞かれると、「まあ、一応」と答えます。
でも、人とコミュニケーションが取れない訳でも(キラキラ・ガツガツした人は苦手そうだけど)、卑屈になっているわけでもありません。

一言で言うと、「今を生きている」感じがします。無理やり背伸びをする訳でもなく、かといって無気力で、何にも興味がない訳でもなく。自分が感じたままに、自分がすべきことを迷わずする。

人から見てそれが理解し難いことであることは、本人も認識しつつも、あくまで自分を崩さない。
そんな和彦だからこそ、このストーリーなのではないかなと感じました。
それは、和彦の家族ありきなのではないかと、そう思えるのです。

(百合)
和彦が銭湯で働きはじめるきっかけとなる人物です。
ずっと和彦を密かに慕っていたように、再会のシーンで感じました。しかし、それは和彦が東大に行ったことや、勉強ができたこととは関係無さそうであると、分かります。


劇中で出てくる実業家として成功している同級生(田村)の誘いを、和彦がいるからと断る様子でもうかがえます。
なんというか、彼女もまた「みんなが好きだから好き」でなく、「私が心から好きと思えるものが好き」というタイプに感じます。

作品に登場する人物は、ほぼ全員等身大です。
そして、みんな「目の前にある今」を今を生きています。
前述した田村も、決して成功して調子に乗っているようには見えません。
この映画、誰を主人公にしても、面白いストーリーになりそうです。
(個人的には、松本のこれまでの生き様みたいな話もすごく見てみたい)

他にも書きたい事はあるのですが、ネタバレしてしまうとこれから見ようとしている方の楽しみを奪ってしまうので、ここらへんにしておきます。

5.関連情報

(監督について)
監督の田中征爾さんは、実は「Schoo」社(生放送アプリ)で放送ディレターとして働かれるかたわら、この映画を撮ったそうです。

(One Gooseについて)

田中征爾監督、主演の皆川暢二さん・磯崎義知さんの3人でOne Gooseという、映画製作チームを組まれています。気になった方は、以下ページもチェックしてみてください。

6.余談

(Twitterで面白かった!とつぶやいたら・・・)

なんと・・・松本役の磯崎さんと和彦のお母さん役の新海さんからいいねをいただきました。僕もお母さんの作るうどん食べてみたいです。

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