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私達に求められる真のリーダーシップとは

読書日記第二弾!

採用基準

マッキンゼーが求める人材像に照らし合わせて、日本が今必要である人材像を明らかにしていく「採用基準」という本です。

著者は伊賀泰代さん。マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタント、採用・人材育成マネージャーを務め、現在は退職してリーダーシップ教育やキャリア育成のサポートをされています。

この本の伝えたいことはズバリ、日本にはグローバルリーダーがもっと必要であるということ。グローバル化が進み多国籍企業が台頭している現在、日本でも「グローバル人材」が必要であると叫ばれていますが、本当に必要なのは「グローバルリーダー」であると著者は述べています。グローバル人材とグローバルリーダーの違いを明確にしながら筆者の述べる「リーダーシップとは何か」についてまとめていきます。


1. マッキンゼーが求める人材像

一言で表すと「将来グローバルリーダーとして活躍できる人」である。
マッキンゼーに入るためには絶対必要である!とよく誤解される「問題解決能力」とはフレームワークを使って問題を分析し解決できることであるが、それは一定以上の誰でもが持ち得る能力である。本当に必要なのは解決すべきイシューの策定から関連する人とのコミュニケーションまで問題解決の一連のプロセスの中でリーダーシップを発揮できる能力である。

2. リーダーシップとは

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・成果を出すことを一番に考えること
リーダーシップを発揮できにくい場所は、成果よりも和を重んじる組織である。最上の成果よりも、組織内の円滑な人間関係を大切にする企業では「部署のことは部署に任せる、他部署には口を出さない。」という文化がある。多くの企業が「企業全体で利益を最大にする」という高い目標を持つため、もし多部署であれ、角が立っても助言をする方が確実に目標に近づくだろう。このように当事者意識を持って、成果を求めて積極的に取り組む姿勢がリーダーシップである。リーダーシップはコーディネートすることでもなく、管理することでもなく、意見を調整することでもないのだ。

・組織の全員が持つべきもの
リーダーシップは上に立つものだけではなく、組織の一人一人が持つべきものだ。リーダーシップを持つ人と誤解されがちなものは、肩書きや役割を持つ人である。しかし一人がリーダーシップを発揮して他のものはフォロワーであるというワントップの組織よりも、全員がリーダーシップを持つメンバーの集まりである組織の方が、一人一人が目標に向かって自分がすべきことを明確に把握している上に、自分で目標を達成しようという強い意志がある。このような組織は問題解決、目標達成に無駄なく、そして推進力を持ってとりくむことができ、生産性が非常に高いのだ。

3. リーダーがすべき4つのタスク

1. 目標設定
高い目標設定をしてメンバーを奮い立たせることが必要。現状で達成できる目標ではNG。変化に対応できることより、成果のために変化を起こせるかが重要。

2. 先頭に立つ
成果を上げるために、損をしても「最初にやること」「先頭に立つこと」を厭わないこと。

3. 決める
たとえ十分な情報が揃っていなくても、前に進むべき時に決断できること。十分な情報が揃っていたら誰でも決断できる。限られた情報の中で解を出せるかどうかが大事。決断することでその決断したケースの問題点が明らかになるし、具体的な状況を一度体験することで解決の糸口が見つかるときもあるからだ。

4. 伝える
組織には違う価値観を持った者が集まるので高頻度で軌道を統一。繰り返し同じこと、目標を語ることが必要である。「わかってくれている」という阿吽の呼吸はNG。強いチームとは多様な個性が集まる組織であり、そんなチームではリーダーは常に言葉で伝えることが求められている。

つまり「目標を掲げ、先頭に立って進み、行く道の要所要所で決断を下し、常にメンバーに語り続ける。」これがリーダーに求められる4つのタスクである。

4. マッキンゼー流リーダーシップの付け方

・バリューを出す
会議で発言する、資料を読んで勉強するのではなくここから施策を生み出すなど、できるだけ価値を生み出す、発揮できる仕事を取捨選択する。

・ポジションを取る

自分がもし〇〇だったらこういう結論を出す、というポジショニングを常に行うこと。自分の立ち位置を明確にし、意見を明確に述べる。全員が「決断する」という状況を想定して意見を持ち寄った上で会議をすることは、一度結論を出した上で問題点を洗い出せるし、非現実的・優先順位の低い議論を避けることができ非常に効率的である。

・自分のリーダーは自分という意識改革

上司のことをFBをくれて自分の意見をブラッシュアップしてくれる人、会議をインプットを獲得してより自分の結論をよくしてくれる場、と考えて周りを利用する気持ちで仕事をする。

・できるようになる前にやる
今すぐやってみてできないところを次回までに直す。多彩な条件もゼロベースで乗り越えられる人材になる。

5. 終わりに

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日本が唱える「グローバル人材」とは、海外で日本と同じようにオペレーションを遂行できる人間である。これは現地の者がやれば良い話であり本当に必要なのは「グローバルリーダー」。海外でも事業を展開したり問題解決をするプロセスを引き入れるリーダーである。日本にはこのリーダーの総量(リーダーシップキャパシティ)が足りない。

リーダーシップとは日常で発揮できる能力のため訓練すれば身につくものだ。戦後の経済成長の途中では中央集権型であればよかった組織体制から、経済テクノロジーの発展により人々のニーズが多様化し、分散型意思決定システムを用いた組織が必要になってきている(例えばその土地その土地で違ったオペレーションを行う現地の業務遂行部隊)。リーダーシップを発揮できる人を増やすことで日本を国際競争で勝ち抜くような強い国に変えることができるのだ。

リーダーシップを持てば変わるのは国や企業だけではない。自分自身も変化するのだ。「成長を感じる」「世界が広がる」「自分のキャリアや世界観を選択できる」。ゼロから自分の人生を設計しキャリアを切り開いていけるようになるためにも「リーダーシップ」を発揮できる人間になることが重要である。

感想

就職活動で最難関と言われているマッキンゼーが頭の良さでも、英語力でもなく、一番重視しているポイントが「リーダーシップ」です。最初、この本は上に立つ時に気をつけるべきこと、組織の巻き込み方のような、トップのための啓蒙本であると思っていました。しかしこの本を読み進めていく中で「リーダーシップ」とは人間一人ひとりが持つべきものであり、決してトップのものだけが持つものではないということを学びました。どんな状況下でもどんな役職でもリーダーシップ、すなわち主体性を持って問題に取り組める人が真のリーダーなのです。

また、今までの経験から多数の人の意見を調整し柔軟に対応することもリーダーの役目であると考えてきましたが、それは著者の考えとは全く違うものでした。リーダーたるものは成果を一番に考えてその上で一人一人の意見を聞くもの。つまり成果に繋がらないにも関わらず調整したり、人間関係がうまくいくように仕事をすることはリーダーではないのです。今後上に立った時は特に、成果を一番に追い求めて、自分自身がやるべきことやらないべきことを明確にして仕事に取り組もう、そんな風にマインドチェンジすることができました。「バリュー出す」この部分が一番自分が意識できていなかったポイントでした。まずはなりたい姿、結果を掲げて、それに向かって常に毎時間自分が価値を生み出せるように逆算的に、そして貪欲に物事に取り組みたいです。

著者が最後に主張していた「自分自身の人生における選択にリーダーシップを発揮すること」は、私も非常に重要であると感じました。
リーダーシップを持てる人は自身も持てて、どんな選択も責任を追うことができる。周りからの評価に流されて選択することが多かったのですが、最近は、リーダーシップを発揮して色々な物事に積極的に取り組み成果を出した経験の積み重ねにより少しづつ自己信頼が増え、自分の心に従って選択をしそのために努力するといったことができるようになってきました。

自分の人生をよりよくできるように、どんなことも主体的な姿勢でバリューを出すために取り組むことで、最上の成果を出して自分のリーダーシップを磨いていきたいです。そのために、状況に関わらず、自分がリーダーになった気持ちで取り組み、また、リーダーシップ経験が積めそうな場所には積極的に飛び込むことを心がけたいと思います。

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