東京公園

10年前に読んだ小説、読後感は、優しくて、暖かい、幸せな心地になった記憶があった。
当時の自分も丁度ワンオペで3歳の子育て中だったこともあって、思い入れが深かったかもしれない。

だから映画のキャスティングを知った時は、イメージ通りで観たいと思った反面、公開当時 震災からまだ日が浅くて、小さい子ども預けてまで観に行くことを諦めていた。

小説の印象を壊したくなくて、あえて観にいかなかった気持ちもあったかもしれない。


そして今年、主演の三浦春馬さんの訃報に接して、観ていなかった事を激しく後悔し、最近やっと観た次第です。


以下、ネタバレあり、個人的に印象的なシーンについての映画と小説の比較の感想です。




結論
小説と映画は、パラレルワールド。
小説→ほっこり
映画→切ない

映画観てビックリした。あまりにも記憶と違くて。自分の読解力と、記憶力に自信なくして10年ぶりに小説再読したよ(笑)

主人公は原作通りかな、でも周囲の人がだいぶ違う。。それによって、小説がどこまでもふんわりと優しいお話だったのに対して、映画はもっと現実的で、人間のダメな姿や、抑えきれない衝動とか、ザラザラした感じが表現されていて、報われない想いに辛くなったりした。

でもね、痛みを感じたら記憶には残るね。
記憶に残るいい映画です。


20才の彼は原作のイメージ通りだった。少年と大人の間、何かになる途中の大学生。日々を、今という時間を過ごしながら、少しずつ大人になる感じが出ていた。

血のつながらないお姉さんとのキスシーンは物凄くヒリヒリする緊張感で、そして切なかった。原作とまるで異なる表現だけど、心に残るシーン。
原作はもっと、平和で優しい。人によっては物足りないかもしれないけど。


やっぱり悔しいね、三浦春馬さんの30代の演技を観たかったな。

初島さんをみたかった。ありえないけどね。


奥さんの撮影を主人公に依頼する初島さんは、映画ではダメな部分丸出しで乱暴な大人だったけど、原作はもっと紳士。

大人の男性が、ちらりと見せる弱さと、カメラマンの卵の青年が向き合う姿が、魅力的だと思っていて、脳内で勝手に映像化しちゃいましたよ。20才と30才の三浦春馬を公園で向かい合わせに座らせて。。。泣ける。


それから、主人公とルームシェアしてるヒロは映画では亡くなっている設定で、幽霊っていう不思議な軽さがあって、先輩感は無かったな、ちょっと勿体ないと思った。

原作では、軽く見えるけど、それなりの過去があって、生きる事への覚悟がある先輩。
主人公をさりげなく現実に引き戻してくれるとても細やかな心配りができる魅力的な人だった。

今演じるなら誰かな。。個人的には菅田将暉さんかな。

総じて、
映画は色恋の要素が強いね。そして感情を揺さぶられるから、記憶に残る。

原作は主人公の青年のささやかな心の成長が丁寧に表現されていたかなと、私は思いました。


どっちが好きかと言われたら、私は優しい世界観の原作が好きだけど、

映画もまた違った世界観をみせてくれた、

そして何よりキャスティングは間違いなくて、スクリーンの中にみんな生きていた。

悲しいけれど、、心より三浦春馬さんのご冥福をお祈りいたします。
ありがとうございました。


2022/3/24追記 青山監督の訃報が飛び込んできました‥ご冥福をお祈りいたします。

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