知覚できないままに、下降する。
和歌山の知の巨人、南方熊楠は、生命現象にとって、観察者の立場は相対的なものにすぎない、と強調していたらしい。つまり、「生物を観察している人間は、それを生命の内側からではなく、外側にあらわれた行動を観察して、さまざまな判断や推測を行っているにすぎない」ということらしい(南方熊楠「南方熊楠コレクション-森の思想」)。
粘菌を例にあげると、粘菌はアメーバ状になっている時と、茎が伸びて胞子を出している時があるらしいのだが、当初人はこれを見て前者の時を死物同然と、後者の時を活発な活動