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子育てには、いつか終わりがくるという話。

小3の息子が、9月から新しい習い事を始めた。
そこは家から少し離れた場所なので、電車に乗っていく。

小さな頃から電車が大好きだった息子は、普段なら、1人で平然と電車に乗って出かけていく。

しかし、新しい習い事に、まだ慣れないからか「行く前は緊張するから、一緒に近くまで送って行ってほしい」と、始めてから1ヶ月以上がたった今でもお願いされる。

片道だけ、一緒に電車に乗って、習い事の近くまで、息子を送り届ける。

小1の妹が「面倒くさいからテレビ見て待ってる」と、送るのにはついてきてくれず、家で留守番しているため、習い事が終わるまで待つことなく、私は、送り届けるだけで、さっと帰ってくる。

帰り道は、気持ちも軽くなるのか、息子1人で電車に乗って帰ってくる。

「甘やかしているかな?」と思いつつ、「彼が求める間は送っていこう」とも心に決めている。

それは、まだ、子どもが小さかった時、受講した講座で、「子育てには、いつか終わりがくる」という話を聞いたからだ。

子育てのせつないところは、「最後」を味わい尽くして終われないところ。
子どもは「今日で終わります」なんて宣言してくれない。
子どもに、保育園や幼稚園の帰り道「手をつなぐのは今日で最後」って言われたらどうする? 
いつもは「早くしなさい!」などと言って歩いていても、その日は、遠回りして帰りませんか? 

でも「今日が、最後の日だよ」と、子どもから宣言してくれることはなくて、おむつ替えも、抱っこをせがまれることも、手をつなぐことも、いつの間にか、気づけば終わっていることがほとんど。

という、話だったように思う。

この話を聞いたのは、もう5年も前になる。
1歳と3歳の子ども2人を、家で子育てしていた頃だった。
大変さのど真ん中だったので、子育ての終わりなんて全く見えていない時期だったのだが、「終わりがくるんだ」ということを、心に刻んだ話しだった。
少し寂しい気持ちで胸いっぱいになり、涙ぐんだことを覚えている。

「送るのめんどくさいな。1人で行ってくれたら楽なのに」と思ったりするこのもある。
しかし、「もう送ってほしいと頼られることも、あとわずかだろうな」と思い直し、妹抜きで2人きりになれる貴重な道中を、息子の話を聞きながら、存分に味わっている。

気づけば、息子とは、がっつり外で手をつなぐことはなくなった。
最後が、いつだったのかは、やっぱり覚えていない。

けれど、今日、習い事に行く前に緊張して、そっと私の手を握ってきた息子の手のぬくもりを感じながら、「あと何回、こんなことがあるだろうな」と、終わりがくることを意識し、そっと握り返した。


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