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住民参加のまちづくりは、本来「面倒くさいものだ」っていう話

 こないだこんなニュースが有りましたね。

 道路に引かれている線は、センターラインや車線境界線など、モノによって管轄が違うみたいですけど、「停まれ」という文字や停止線は、公安委員会っていうところらしいが発行主体です。他にも道路標識なんかも設置したりしています。

 公安委員会っていうと、テレビドラマでよく見かける内閣府の外郭の「国家公安委員会」とごっちゃになってややこしいですけど、こちらは都道府県警の運営を管理する組織ですね。都道府県知事が所管し、事務局は警察が担います。

 地域住民ボランティアがまちづくり活動によって公的なサービスを行う際、よく「住民参加のまちづくり」という言葉が使われます。じゃあここでいう「住民が参加する対象」ってなんだろうなという。例えば地域イベントなんかやるときに、そのイベントの運営に地域住民ボランティアが参加しているから、「住民参加のまちづくり」だ、っていう理解も当然ありえます。

 一方で、わざわざ「住民参加の」と限定をするっていうことは、翻って枕詞なしの「まちづくり」というのは、住民の参加が前提となっていないっていうことなんですね。じゃあそれってなんなんですかっていうと、「行政が独占するまちづくり」だってことになるわけです。例えば、このニュースで言うなら、道路という公共財に停止線を引くのは、公安委員会の独占的なまちづくり活動だってことなんです。

 さて、コミュニティ政策論や行政論ではよく知られることですが、地域の公共財供給活動というのは、長年行政組織が独占的に行ってきたと言われています。しかし、1970年代以降、財政状況の変化や価値観の多様化と呼ばれる状況を受けて、これまで独占的に行われていた公共財の供給活動を、民間セクターと一緒にやっていく必要が語られるようになってきました。行政による公共サービス供給活動の、意思決定段階に住民が参加することを「参画」実行段階に住民が参加することを「協働」と一般に呼びます。で、この参画と協働によって地域の公共財の供給を行おうとする一連の取り組みを、「住民参加のまちづくり」と呼んだりするわけです。

 詳しくはこちらの記事もご参照のこと。

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