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路線図という歌詞カードを眺めながら、交通システムの刻むドープなリズムに乗って、移動という名のイルなリリックを口ずさむ。

 しばらくずっと、旅行の楽しみ方がよくわからなくて、でも旅行したいっつって、ヤキモキしていたのだが、最近ヒントになりそうな体験を得た。

 聞くところによると、タモリさんは「笑っていいとも!」の楽屋で路線図を眺めるのを楽しみにしていたという。毎日アルタに詰めねばならない身として、路線図で「行けない旅行」を想像していたのだろうか、などと、そのエピソードを聞いた当時は考えていた。

 しかし、どうも違う。路線図とは、それ自体楽しいものらしいのだ。信頼と実績のデイリーポータルZにも、路線図をながめてみんなで「いいねえ」と言い合うだけの会とかの記事がある。

 鉄道オタクの皆様には、路線図自体が一つのジャンルとしてあると聞く。私も最近、この路線図を眺めることに楽しさを覚えていることに気づき始めた。きっかけはこの本。最近は風呂上がってから寝るまでの間の眠りへいざなわれる時間に、ずっと眺めている。なんか癒やされる。

 そういえば私は、小さい頃は電車やバスを好む子であったと聞く。しかし、今にして思えば、「単体の機械としての電車」に興味があったわけではなく、「交通インフラとしての鉄道」に興味があったのではないかと思える。

 「ここからここに乗り継げばここに行けるのか」みたいな模索には、ミステリー的というかパズル的な読み解きが可能だ。そりゃ時刻表トリックとかがひとつのジャンルになるはずだ。

 そして、実際に巧みな乗り継ぎをやりこなしていくとき、一種のリズムゲーというか、楽器演奏でうまく奏でられた時のような「よし」感がある。

 そういえば交通系ユーチューバーには、「○○線に乗ってみた」というだけの動画があって、これはいったいどういう楽しみなのだろうと思っていたが、なんとなくその楽しみの片鱗がわかってきた気がする。交通システムを使いこなす楽しみがある。マニアックな路線にはコレクター的楽しみも伴う。

 これはもしかして、いわゆる鉄オタの目覚めなのではないか、と感じてワクワクする。鉄オタレベル1。

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