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男女差別を解消するために、仙人になるという解決策。

 「ジェンダレス男子」て面白い言葉よね。ジェンダレスなのか男子なのか。

 しかしあれよな、人類は物事を言語的に区別することで、複雑な世界を明晰に理解できるようになってきた。これを「分別知」という。

 しかし従来の分別ってあまりに大雑把だったよねって話になってきていて、だから例えば性でも男女という2つに大雑把に分けるのではなく、もっとグラデーショナルに分けましょうという話になってきているわけで。いわゆるひとつの多様性ってやつで。とすると、ジェンダレス男子なんていうのは、そのグラデーションの一つであろう。男子だけど、その中でもグラデーションがあって、男子男子した男子ではない、という。

 しかし、この例を見てもわかるように、本来複雑な世界を言語で分別しようとしても、どこまでも細かくなるだけで、あくまで便宜的な整理に過ぎず、世界自体を捉えられるわけではない。

 宮台真司さんなんかは、そういう本来の世界の有り様を見ずに言語の世界を絶対視する人を、「言葉の自動機械」 と呼んで批判したりしている。「男だからこうすべき」「女だからこうすべき」みたいな感じで、言葉で作った分別を疑うことなく自動的に信じちゃうわけだ。

 一方、それに対して言語的に分別しないで、物事をあるがままに捉える、という認識の有り様もあって、これを「無分別知」というんやね。

 仏教のマインドフルネスはその手法だし、道教でいう「道(タオ)」とかもそうよね。

 しかしそれって、言い換えれば、言語に頼らず、無分別に世界を捉えようとすると、赤子のようなまなこで世界を見ることになるわけで、それを取り戻すには訓練がいるってことなんだよな。「男女を差別しないでおきましょう」といったところで、それは「男女」という分別の上に成り立っている。言語的な分別ではグラデーション的に細分化するだけで、突き詰めれば解消しないんだよな。

 我々は果たしてマインドフルに世界の「道(タオ)」を見ることができるのか。あるいは。道教では、「道(タオ)」と一体化できたとき、人は仙人になると言われている。本気で言語的な分別がもたらす差別を解消しようとする場合、我々は仙人になる必要があるということかもしれない。

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