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ボランティアを「やりたいことをやりましょう」と呼びかける普及戦略のデメリット

 私は、まちづくりや、ボランティア活動の支援者として日頃からお仕事をしています。この仕事を通じて、人々がまちづくりやボランティアをもっと楽しみながら自由にできるようになるといいなと願っています。

 翻って言うなら、そういう支援者が必要であると考えられる程度には、まちづくりやボランティア活動というのは、「ほうっておくと期待に対して人的供給が過少になってしまう」営みなのだということでもあります。

 しかし、考えてみれば不思議です。例えば、何らかの「いい製品」が出たとします。それはすごく「いい製品」なので、利用者の間で口コミで評判が広がり、利用者がどんどん増えていく、という普及プロセスがありそうですよね。まちづくりやボランティア活動というものも、その活動が当人にとって本当に「いい製品」であるとするなら、同じようなプロセスを経て、もっと普及してもおかしくないですよね。でも、支援者が必要になる程度には、そういうわけではないらしい、と考える事もできますよね。

 ボランタリーなまちづくり活動に人々が関わるための方便として、近年よく見かけるのが、「あなたのやりたいことをやりましょう」というメッセージです。ボランティアが「安易な自己犠牲的活動である」と理解されていると、それがバリアとして機能して、多くの人は敬遠して手を出せません。しかし、「あくまでも自己実現的な活動ですよ」というメッセージを投げかけることで、そのバリアを弱めることが期待されています。

 それは多分間違っていないんでしょう。しかし一方で、その活動をしている人々が、マス層に憧れられ、多くのフォロワーを生み出しているか、っていうと、そうでもないと思うのです。なんでだろうか。まちづくりが本当に「いい製品」なのであれば、活動している人がもっと憧れられて、次々とフォロワーを生み出していく、そんなプロセスもあっていいんじゃないかと。

 そんな事を考えていて、ふと、次のようなことを思いつきました。

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