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よく企画書を書くときに聞かれる「目的」と「目標」と「狙い」の違いとはなにか?


「目的」と「目標」の違いとは?

 まず、こういう場合は辞書をひいてみましょう。

 「目的」とは、「目標に比べ抽象的で長期にわたる目あて」のことで、「人生の目的を立身出世に置く」というように使われる言葉です(小学館大辞泉)。つまりぼんやりとしていてポエミーなものなんですね。

 一方で「目標」とは、同じく目あてなんだけど、「目ざす地点・数値・数量などに重点がある」そうで、「目標は前方三〇〇〇メートルの丘の上」「今週の売り上げ目標」というように使われる言葉です(小学館大辞泉)。つまりはっきりとしていて数値で表現されがちなものです。

 つまりポエミーで抽象的か、数字で説明できるくらい具体的かの違いがありそうです。

目的と狙いの違いとは?

 じゃあ、「狙い」とはなんでしょうか?これは「ねらった目標、意図」(小学館大辞泉)だそうです。「 -はいいが実現は難しい」というように使われています。

 しかしこれだと、「私の目的は世界平和の実現です」というのと、「私の狙いは世界平和の実現です」と、どう違うのかよくわからないってことになります。同じでいいのでしょうか?でも企画書では、目的と狙いを別々に書かせますよね。とすると、「狙い」と「目的」とはどう使い分けるのがいいのでしょうか?

 そう考えて探してみると、こんな記事がありました。

目的とねらいを区分するのは、行動または計画の実施者の責任範囲を明確にするためである。目的の実現に対しては、その行動または計画の実施者が直接責任を負うのに対し、ねらいの実現に対しては、その行動または計画の実施者は間接的な責任しか負わない。

 なるほど、自分の責任の及ぶ範囲内か、範囲外か、という違いがあるようです。確かに「こうすればうまくいくだろうと考えて予定通り実施できたが、狙いが外れて思わぬ結果が生じた」ということは往々にしてありますね。

 とはいえ「管轄の内外」という表現はちょっとむつかしいです。何を持って自分の管轄とみなすかは、立場によって変わるからです。企画書を書くという点に限って言うなら、その紙に書いている話を「誰がやるのか」という観点で整理するのがシンプルでよさそうです。そこで「主語が自分」か「主語が自分以外」か、という軸で分ける考えを採用してみましょう。

 ということは、「具体的か抽象的か」「主語が自分か自分以外か」の二軸から、次のように整理できそうです。

 「具体的で主語が自分のこと」=「行い」。
 「具体的で主語が自分以外のこと」=「狙い」。
 「抽象的で主語が自分のこと」=「思い」。

主語が「自分か他人か」、目当てが「抽象的か具体的か」で四象限マトリックスに整理する

 こう整理すると、「抽象的で主語が自分以外のこと」のマスが埋まっていない事がわかってきます。どんな言葉が適切でしょう?と考えると、「願い」ではなかろうかと思います。

 「願い」とは「こうなってほしいと人に頼む事柄」(三省堂大辞林)とあるように、主語は自分ではない、ほかの誰かです。そして、抽象的なものです。用例も「神仏に、希望の実現することを祈る/人に頼む。助力や配慮を求める」とあります。しかも「ねらい」と「ねがい」と、語感も似てていい感じですね。では、ここには「願い」を埋めてみましょう。

 これで、図のようなマトリックスができあがることになりました。

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願い:こうなってほしいと人に頼む事柄(三省堂大辞林)
狙い:ねらった目標。意図(小学館大辞泉)
行い:物事をすること、振る舞い、行動(小学館大辞泉)
思い:思うこと、考え、感じること(三省堂大辞林)

 じゃあこれをもとに企画書を書いてみましょう。あなたは企画書の書き手になったつもりでこれを読んでみてください。

自分の企画を四象限マトリックスに整理して見直してみる

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