見出し画像

【エッセイ】吸い込まれそうな

突然ですが、”吸い込まれそうな”経験をしたことがありますか?

例えば、
駅のホームで、高いところで、神秘的な場所で、圧倒的な絵画の前で、長い廊下で、
時々、「うわ」と声に出してしまいそうになる”あれ”。

私は何度か経験したことがあるのですが、
その中でも一段と鮮烈な経験があります。


高校生の時
初めてできた友人の趣味がキャンプで、
私もキャンプ経験者であるということから、
半ば強引にキャンプに連行されました。

装備や日時、場所などは全て友人が準備していたので逃げ場はありません。

その日は、外に出たくなくなるような寒さがあり、
まだ、冬キャンプなど流行ってもいなかったので、
正直、なぜ冬なのかという疑問もありました。


キャンプ場は、山の中腹で一段と冷えており、
周囲に人はおらず、
受付にいたおじいちゃんしか人はいませんでした。

車の音や人の音は一切なく、
風が木々を揺らす音と鳥の鳴き声だけが聞こえてくる世界
少し不気味で、少し神秘的だったのを覚えています。


日が落ち、
ご飯を食べ終わったときに
ふと上を見ると、

雲一つなく
見たことのない星の数で
ライトに照らされているような明るさがあり
星が降ってくるような錯覚を感じ

静寂の中で見たその空に

魅了されてしまいました
何分見ていたのか覚えていません

思わず立ち上がっていた私は”吸い込まれそう”になり、こけてしまいました。


その空はあまりにも鮮烈で、
私はまた、冬キャンプに行くことを決意しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?