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第六十六段

noteが今月中に記事を書けば、12か月連続投稿になると煽ってきたので、久しぶりに筆を執る。

今年の振り返りもいいが、今日は最近読んだ本についての感想でも。本のタイトルは「限りある時間の使い方」。アメリカで大ヒットした時間管理の本らしい。内容を簡単にまとめると、既存のタイムマネジメントは全然ダメ、なぜなら効率化を追い求めても、仕事が減るわけではないからだ。しかも、効率化を追い求めたいという我々の欲求は、未来の理想的な姿(しかも、たどり着くことは無い)を実現するための手段として現在を消費することに他ならないと主張する。何をするかを選び、代わりに何かを諦めること、その不快な状態を受け入れること、そして何より今この世に生きていていることに感謝をすることが大事だと我々に訴えかける。

最後の一文がすごく大事で、私が今まで何となくSNSやtwitterを見ていて反吐が出そうになる理由を整理してくれたとスッキリしたのだ。私は知り合いだろうが、読むに堪えない投稿はどんどんミュートする。ミュートは便利な機能だから、万人におすすめしたい。どういう投稿が続いたらミュートするのか。件の本を読んで気づいたのが、現在を大切にしない思想に染まったタイムラインである。例えば、「あと1か月たてば、人事異動でこのクソみたい所ともサヨナラ。」みたいなことである。一年に一回とかなら気にしない。しかし、こういう投稿をする人は、大体毎週、これに近いことを言っている。それって、まさに「理想の未来を手に入れるために今を捨てている状態」だと思うのだ。1か月間の時間をやり過ごせば、(自分が思い描く)バラ色の未来がやってくる。こういう考えの持ち主が、大抵パートナーにも恵まれない気がするのは自論の域を出ないだろうか。未来を生きる人は、パートナーが欲しいとの発言も多い。そして、居りもしないパートナーに向けて自分を認めてほしいと嘆く。何となく、同じ軸で整理できそうな気がした。

私が大事にするのは、今なのだ。もちろん、未来の姿に想いを馳せて頑張るときも必要だ。でも今を捨ててはいけないと思っている。素晴らしい未来があって、それに近づくとしても、目の前の道を一歩ずつ歩くことでしか進まないのだ。遥か先に見えるゴールの看板をずっと見て進むのではなく、足元をじっと見て、一歩一歩進みたい。パートナーとの関係も同様だ。毎日、毎時間、その瞬間に隣に居てくれることに感謝する。その積み重ねが家族なのだと思う。わかりやすく与えられるものなんてないよ。何かをもらうためにパートナーが欲しいだなんて、強盗ではないか。一緒に過ごしている現在に感謝する。その行為を選んでくれたパートナーに感謝する。相手が自分に感謝してくれるかは重要ではない。けれど、互いに感謝していると感じたとき、きっと素晴らしい一体感が生まれると思う。そんなことを年の瀬に思うである。


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