「白人の特権を利用する時だ」言葉の真意 #BLM
黒人少年を庇うように見上げる少女は武装した大きな警官より大きく見えた。
「今こそ白人の特権を利用する時だ。」
ホワイトハウスの周りは公園になっており、トランプ大統領の連日のツイートや対応に直接異議を唱えようと言う国民が集まっていた。
この黒人差別へのデモ(以下BLM)の頃から白人のデモ参加者が増えて来ていた。
公園の柵の外に集まるデモ参加者。
内側には大きな銃を持った警察官(軍やシークレットサービスも混ざっていたらしい)。
柵の内側に黒人少年が侵入し何か叫びながら両膝を地面につけ、両手を頭の後ろに降伏のポーズを取った。
迫りくる武装した警官達。
怒鳴り合うデモ隊と警察官。
ひとりの白人少女が群衆から飛び出し、少年を抱きしめる形で警察との間に立った。
数秒後、少女も少年と同じポーズを取り何か叫んでいる。
こわばっている上半身から恐怖がうかがえる。
実際には聞こえない震える声が聞こえた。
続くように柵を乗り越える人々。
Twitterで回って来たこの1分弱の動画に「今こそ白人の特権を利用する時だ」という主旨の一言が添えられていた。
動画自体は今消されてしまっている。
うろ覚えだが16歳の少女だとか、ホワイトハウス近くだとかの情報も載っていた。
恐怖とそれを上回る差別に対する主張がこれでもかと伝わって来て、わたしの腕に鳥肌が立った。
関心が主体性を持った視線に変わった時だった。
元々なんとなく白人至上主義を嫌悪する気持ちや、有色人種差別を感じ取って来てはいたが、日本にいるわたしはどこか他人事のように振る舞って来た。
今回の世界に広がった黒人差別に対するデモについても、「差別が認識され無くなるといいな」くらいに思っていた。
この少女を見るまでは。
白人である少女は差別される側ではなく、銃の前に自ら行くほどの理由は無い様に思う。
変化を望む気持ちが恐怖を上回ることがそんなに多くあるだろうか。
アメリカのティーンの中には自身の肌の色に関係なく、自分で考えおかしいと思うことに異議を唱えられる人々がいる。
「白人だから許される」「発言者が白人だから耳を貸す」
白人が持つ暗黙の特権を認識し、それを平等な世の中にするために利用しようという動きがある。
今まで何十年と人種差別に対する運動は行われて来たが、ジョージフロイド氏が犠牲になった一件はコロナで疲弊した世界に刺激を与え多くの人々を運動へと駆り立てた。
アフリカにルーツを持つ人たちへの差別は歴史としても長く、人々の根底に植え付けられている。
白人が多い小学校に黒人の子供が転校して来て、ランチボックスのほうれん草を大麻と間違われ家に警察が来た話。
アメリカの黒人家庭では警察に対してどう対応するのか小学校に上がる前に教えられる話。
警察に銃を向けられたらどう行動するのか教えられる話。
計算を覚えるより先に教えられるのが、偏見と差別への対応なのだ。
デモ活動で捕まった人たちの保釈金や水などの支援物資に使われる募金がある。
警察に銃を向けられない日本からの募金は偽善だろうか。
わたしは偽善だと言われても良いと思う。
実際に行動している人たちが信念を曲げたり新しい憎み合いを産まないように、短期間で達成できる落とし所をはっきりさせて、少し前進した世界を実現させて欲しい。
わたしの募金は差別する人たちへの意思表明だ。
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