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今、韓国は和食居酒屋戦国時代

上から「横丁」「麺屋はなび」「ささの葉」「文ノ字」
一見、日本のどこかにある店のように見えますが、全てソウルにあるお店なんです。

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日食ではなく、和食へ

日本とベトナムで4年ほど生活し、帰国。
聞いたことないエリアが盛り上がっていたり、
シェアキックボードでみんな街を走っていたり、
「おれ本当に20年もここに住んでたっけ…」と思うほど変わっていました。

その中で、最も違和感を感じたのが和食居酒屋さんの多さ。

帰ってきたばかりで、たまたま目に入るのかと思いきや2014年約7,500個ぐらいだった和食屋/和食居酒屋の数は2018年17,000個まで増えたということ。

まだ昔は和食を韓国にローカライズし提供する、いわゆる「日食(日本の食べ物)」屋さんがほとんどでしたが、雰囲気まで日本を全面に出す本格的な店が主流になっていました。オマカセ・サケ・テヅクリ・ムギ・イモなどの言葉も日常的に使われているようです。

決して日韓関係が良いとは言えないここ数年で、和食居酒屋は増えたのかを客の目線、店の目線、社会文化的な観点で考えてみました。

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1.客_軽く、気楽な空間で飲みたい

食べ物が盛りだくさんあって、ソジュとビールを混ぜた爆弾酒でみんなワイワイ飲むザ・韓国飲み。

でも、20-30代を中心に一人か二人でお話しながら軽く飲む文化(≒ホンスル文化)が広まり、会社での会食などもかなり減りました。お肉・鍋・炒め料理など‥2人前からの料理が多く、4人用テーブルに座るのが一般的な韓国料理屋だとこじんまりと飲むのはかなりハードル高いですね。そこでカウンター式の和食居酒屋の存在は凄くありがたいものです。

また、国内旅行なみのお金で日本に行けるようになったのも和食居酒屋が韓国で流行る理由の一つだと思います。カウンターで、オーナーが調理するのを見ながら、おつまみとビール一杯したのがいい印象に残り、韓国でもまたそれを味わいたい!となったでしょうね。

韓国でプチブームになった深夜食堂も、「いつも優しく迎えてくれるマスター、素朴だけどこだわりのおつまみ、一人でも楽しめる空間」に対する憧れを持たせてくれました。

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2.お店_和食のほうが儲かる?

現実的な話にはなりますが、和食居酒屋のほうが儲かるから、若い料理人を中心に和食居酒屋さんを営む人が増えたのではないかと思います。

一般的な韓国料理屋だとおかずがいくつか出る、おかずは基本おかわり自由、ドリンクはソジュかビールのみ、小皿料理ではなく一つのメニューを分けて食べることが多いので、よっぽど多く食べ飲みしない限り、一人2000円前後となります。

和食居酒屋だと小皿料理がメインで、おかずも出さずに済む上に、日本酒や焼酎、ハイボールも出すので、言い方悪いですが、一人の客からより多くのお金を取れるということになります(苦笑)

ちゃんとしたものを出すための奮闘ありきでできる商売ではあるので、その努力をナメるわけではないですが、日本の老舗や職人が作り出しているプレミアムなイメージの上で、努力にふさわしい(もしくはそれを上回る)値段をもらえるからこそ、そっちに流れる人が多いでしょー。

言い換えると、韓国料理屋の場合、多くが「アジュンマ」の苦労に頼ってきたことが多い、それにふさわしい収益が得られず、韓国料理に取り組む料理人は割と少ないのかもしれません。(やや憶測ありますが…)

3.社会_レトロブーム、レトロジャパン

韓国のもう一つのトレンドがレトロ。
わざわざ昔風のインテリアで、アナログTVのある店、1988ソウル五輪をイメージさせる店が人気を得ています。

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(良くも悪くも)「日本=先端」であった昔とは違って、今の若者にとっては「日本=クラシック、アナログ」なイメージが強く、レトロブームの中で和食居酒屋が注目を浴びてる一面もあります。

多くの和食居酒屋で80年代シティポップが流れ、昔のビールポスターが貼ってあるのも、その観点で理解できるでしょう。
(たまにこれが書いてあるポスターを貼って、怒られる店も少なくなさそうですが…)

激しく変わる韓国で、和食居酒屋ブームが持つ意義

昨今の和食居酒屋ブームは、食べ物だけの問題ではなく、韓国で一人ひとりのこだわり・好みが認められるようになった証しだと僕は思います。

凄いスピードで成長してきた韓国は、常に変化を求められ、周りとの競争に強いられてきました。お陰で、ある分野では世界レベルに至りましたが、「Top」になれるもの以外にはなかなか厳しい環境であると思います。

飲みに関してもそうで、安くて飲みやすいソジュが主流になり、チェーン店で全国どこにも美味しくて無難なチキン屋、サムギョプサル屋は増えましたが、そこで細かい好みを満たすことは期待できません。

そこで今の若い世代は、少し高くても店主のこだわりのあるメニューを味わえ、お酒も自分の口に合うものを見つけられる和食居酒屋にわざわざ足を運んでいるとも思えるでしょう‥‥。

このブームがただの真似じゃなくて、日本の居酒屋を乗り越える個性臭い個人店が増えるきっかけとなり、今までなかった雰囲気の店も料理もガンガン生まれてきたら嬉しい限りです。 



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