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日曜の朝食【夫婦のこと】

最近、休日の朝が弱い。全く食欲がわかず朝食が食べれない。
以前は待ってくれていた妻が、今は先に食べることが普通になった。
それでいい。妻も空腹で辛いし、私も待たれると辛い。

ただ、一緒に食べれないのもやや辛い。一人の朝食は味気がない。
食後の妻は趣味で食卓を使う。そうなると私はリビングの座卓で食べることになる。少し食欲がわいても味気がないので食べないままどんどん時間が過ぎてゆく悪循環。昨日はまだ食卓で妻が漢検テキスト相手に遊んでいた。今のうちにと重い腰を上げてパンを焼きつつ、卵も焼いていたら妻に尋ねられた。

「えっ、食べるの?」
「まぁ、そろそろ。」
「私もそろそろ、ここ使いたかったんだけど。」
「えー、あと30分だけ漢検やってよ。昨日も一緒に食べてないし、居る時に食べたい。」
「わかった、もう少し頑張るわ。」

チンッ!と、パンが焼けた音。
マヨとからし塗って卵焼きとハムを挟んで、急いで食卓へ向かう。

「あっ、コーヒー作るの忘れた…」
「インスタントでいいの?」

熱々を食べたい私を知っている妻が作ってくれるらしい。
優しい妻、でも入れ替りで食卓から居なくなる。しばらくしてコーヒーを持ってきた妻が、立ち上がったついでとストレッチを始める。漢検をしていたせいか入念に。無自覚らしいがなかなか食卓に戻ってこない。

「漢検しないの?」
「肩を回しとかないと固まっちゃうから。毎日忘れずに続けてるんだよ、偉いでしょ。思いついた時に回さないと忘れちゃうからねー。」

一人の朝食が嫌で照れてまで居て欲しいとお願いした私のことは、すっかり忘れている妻。私が食卓に座って以後、目の前には誰も居ない。もうすぐ食べ終わるし、コーヒーだって飲み終わるけどずっと不在のまま。少し離れた所で妻が腕を伸ばして肩を回して「ホフゥホフゥ」言っているだけだ。

今週も結局、一人で朝食。
妻が淹れてくれたコーヒーと謎の呼吸音がある分、ハムタマゴの味はいつもよりはしている。

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