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買春ゲームを機能停止させるために【私たちは『買われた』展・考察Ⅲ】

間違った価値観は、「それは違う」と頭ごなしに否定し論破して、それで終わりにできるものではありません。
どこが間違いなのか、ちがう考え方ができないか、常に相手に問い続け、自分の頭で考えるきっかけを与え続け、丁寧に対話していくしかないと、私は感じています。
思うに、「買う男」達に欠けているものは、対話ではないでしょうか。
世の男性たちの多くは、自分と異なる性別の人間と、対等な立場に立って、相手の発している声に丁寧に耳を傾け、お互いの違いを尊重しつつ、自分自身と向き合っていく作業を、まともに経験したことがないはずです。
「私たちは『買われた』展」は、その数少ない対話のためのきっかけ、チャンスだと考えます。

「私たちは『買われた』展」盛岡にかけた想い

買春ゲームを機能停止させるために出来ることは、3つある。

  1. 買春をしない・させない

  2. 現実の問題に誠実に取り組む

  3. 多様な性のあり方や快楽のあり方があることを知る

買春をしない・させない

今現在、買春文化に慣れ親しんでいる男たちは、今日から少なくとも1年以上、キャバクラや風俗に行くのをやめてほしい。
男たちが自ら決断して「買春をしない・させない」ことほど、効果的な買春ゲーム破壊方法はないからである。
そのためにも、「私たちは『買われた』展」はもっと全国各地に広まってほしい。少女たちの声を聞いて、買春するとどうなるか、「買われた」少女たちがどのように傷ついているのか、その声に耳を傾けてほしい。一度でも耳を傾けた上で、この声を聴いてなお自分は買春するだろうか、と自らに問うてほしい。

現実の問題に誠実に取り組む

買われた展に登場する少女たちの多くは、家庭に居場所がなかった・学校にも居場所がなかった少女たちである。
だからこそ、その心の空洞を埋めてくれる何かが欲しくて、買春する男たちに身を委ねてしまったという事実がある。

今年頃の娘さんや息子さんがいる家庭を持つ男性に訴えたい。

あなたの家庭で現実何が起こっているのか、あなたの子息が通っている学校にどんな生きづらさがあるのか、目を背けずちゃんと注視してほしい。

娘さんや息子さんと日頃から対等な立場で対話をしてほしい。

何より、パートナーである妻との対話を欠かさないでほしい。

多様な性のあり方・多様な快楽のあり方があることを知る

この文章まで読んでくださっている皆さんには、Colabo代表の仁藤夢乃さんの本を読んでほしい。おすすめはこの3冊。

加えて、私からおすすめしたい本を2冊あげておく。

まず、LGBTQ+やセクシュアリティに関する正しい知識を持ってほしい。
性別二元論や異性愛主義がいかに偏った考え方なのかを学んでもらいたい。

LGBTQ+に関して解説している本については、良書も増えているので、正直ちゃんとした版元から出ている本なら何でもいい。出来るだけ自分にとってわかりやすいもの・とっつきやすいものから選んで構わない。迷ったら上の『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』をとりあえず買っておけば間違い無い。

この本はどんな人にでもおすすめしたい。
なぜなら、ポルノに快楽を飼い慣らされないための方法が、この本には書いてあると思っているからである。何より、身体から快楽を得て、享受する方法は無数にあることをこの本は教えてくれる。
私たちは性産業とそれらがもたらすステレオタイプによって、セックスの仕方や快感の感じ方、性的欲求との向き合い方だけでなく、異性とまともに対話するためのコミュニケーションスキルまで歪められている。しかし本来セックスとは、愛と誠実さを持って、対等な対話によって同意と快楽を得ていくコミュニケーションのことだったはずだ。その大事な部分を私たちの日常に取り戻す必要がある。

以上、「私たちは『買われた』展」を通して私自身が考えてきたことのまとめを終える。

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